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フーゴに口説かれる


【フーゴに口説いて貰うこと】


「あなたは単純で、純粋で、ドジで、どこか抜けていて、まあナランチャまでとはいかないですが、正直馬鹿かなって思う時もありますね」
「………」

え?なに??何で初っ端からこんな心折れるような事を言われてるの私??ポカーンと口を開けて固まってしまった私に、フーゴ君が小さく笑う。「そんなに言わなくても…!」と涙目で反論しようとした時、フーゴ君が口を開く。

「でも、あなたなら全部可愛らしいとさえ思えてしまうから不思議なんだ。どうしてでしょうね?」
「え、あ…」

フーゴ君がおもむろに近付いてきて、「それに」と続けながら私の手を取る。そして、掴んだ私の手を自分の胸の辺りに押し付けた。薄いシャツ越しに感じるのは、鼓動。大きくて速い。まるで今の私のようで、思わず目を丸くした。
緊張、しているのだろうか。いやまさか。目の前のフーゴ君はいつもと同じ表情を浮かべているのだ。緊張なんて見当たらない。ならばどうして?戸惑っていると、フーゴ君がくすりと笑った。

「僕だって人並みに緊張するんですよ。――好きな人の前なら当たり前でしょう?」
「っ…!?」
「あなたも僕と同じなら…、そうなら良いのにと願っている自分がいるんです。もしも僕と同じ気持ちなら、どんなに良いかってね」
「ふ、フーゴくん、」
「好きですよ」

私の耳元に口を寄せ、静かに囁く。予想に違わず見事に固まってしまった私に、フーゴ君は「――なんてね、ときめきました?」と悪戯っ子のような笑みを浮かべて尋ねてきたのだった。