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承太郎に頭を撫でて貰う


【承太郎に頭を撫でて貰うこと】


手紙の事を説明すれば、承太郎さんは快く協力してくれた。承太郎さんの前に立っているが、何だかそわそわしてしまう。私の落ち着かない様子に気が付いたらしい承太郎さんは帽子のつばを下げて僅かに俯いた。肩が小さく震えている――って、笑ってる!?

「な、何で笑うんですか…!!」
「いや、すまない…。妙にそわそわしているのが子犬か何かに見えてしまってな…」
「い、犬ゥ…!?」

というか、そんなに目に見えてそわそわしてしまっていたのか…!ウワアアアアア恥ずかしい!!熱くなった顔を隠すように俯くと、承太郎さんが宥めるように私の頭に手を乗せた。
そのまま髪を梳くように柔らかい手付きで頭を撫でられて、私は思わず目を細める。気持ちいい。大きな手は温かくて、何だか凄く安心するのだ。

「…私、承太郎さんの手が好きです」
「ん?」
「大きくて、温かくて、優しくて…。こうして頭を撫でて貰うと、凄く安心するんです…」
「…そうか」

はにかみながらそう告げれば、承太郎さんも小さく笑ってくれた。不意に頭を撫でていた手がするりと頬まで下りてきて、今度はその長い指がゆるゆると私の頬を撫でる。
目を丸くしていると、「しかし、今のはとんだ殺し文句だぜ」なんてからかうように言われて、私は漸く自分がとんでもなく恥ずかしい発言をしていたのだと理解し、ぼふんっと顔が一気に熱くなったのだった。