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吉良の頬にキスする


【吉良の頬にキスすること】


「キスが初めてな訳じゃああるまいし、何をそんなに恥ずかしかっているのか理解出来ないね」
「……………」
「……初めてなのかい」
「……は、初めてで悪いですか…!!?」

顔を真っ赤にしながら吉良さんを睨み付ければ、彼は面倒だとばかりにわざとらしく視線を逸らした。キスなんてそんなホイホイするものじゃあないもん…!
必死に抗議していると、吉良さんは「ああ分かった分かった、私が悪かったよ」と心にもない謝罪でさっさと話を切り上げてしまった。

「良いから早くしてくれないか。何なら私がお手本を見せても構わないが」
「えっ!?い、良いです!!大丈夫です!!!」

吉良さんがスッと私の頬に手を伸ばしてそんな事を言うものだから、私は慌てて首を振って逃れる。ここは腹を括るしかない…!!私は吉良さんに目を閉じてくれるよう頼み、その頬にそっと唇を押し付けた。
「随分と幼稚なキスだな」とからかうように笑みを浮かべられて、居た堪れなくなった私は脱兎の如くその場から逃げ出したのだった。