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吉良と外食する


【吉良と外食すること】


「せっかくの料理が冷めてしまうよ。早く食べなさい」

吉良さんがフォークとナイフで上品に食事している前で、私は固まっていた。確かに外食は外食だけど、何もこんな高級そうなお店で食事しなくても…!!ファミレスとかで良かったのに…!!すっかり高級な雰囲気に飲まれてしまった私はか細い声で吉良さんの名前を呼んだ。

「き、吉良さん、私、凄く場違いでは…?わ、私、こういう高級そうなお店に入った事無いんです…!」
「何だ、そんな事を気にしていたのかい?別にマナーをとやかく言うつもりは無いよ。安心して食べると良い」

違うそこじゃない!いや、そこも気にかかってはいたけど!!しかし目の前の料理はとても美味しそうで、空腹に負けた私は恐る恐るフォークを伸ばした。切り分けて口に運ぶと、普段ファミレスで食べる料理とは比べ物にならないほど美味しかった。
一口食べてしまえばもう止まらない。「美味しいかい?」と尋ねられたので笑顔でこくこく頷けば、吉良さんは小さく笑った。

「美味しい料理を食べて喜ばない人間はいないだろう?」
「そうですね」
「私はどうも君の喜ぶ顔が好きでね。予想通り、喜んでくれて良かったよ」
「そ…、っ!!?」

料理に夢中になっていたけれど、はたと手が止まる。今さらっと恥ずかしい事を言われたような気がするよ!?そろりと視線を上げてみれば、吉良さんは柔らかい表情で此方を見ていた。
ぼふんと音がするほど勢い良く顔が真っ赤に染め上がる。それを隠すように「ほ、ほんと美味しいですねこれ!!」と無理矢理話を変えようとする私を見て、吉良さんはくすくす笑った。