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仗助の髪をセットする


【仗助の髪をセットすること】


髪型には人一倍こだわりを持っている仗助くんだから断られても仕方ないと思っていたのに、予想に反して彼は二つ返事で了承してくれた。髪を下ろした仗助くんが椅子に座り、私にクシと整髪料を渡す。…いや、あの、渡されても全く分からない。
とりあえず珍しいので髪を下ろした仗助くんの姿をじっと眺めていると、仗助くんは照れたように視線をそらして頬をかいた。

「…あー、恥ずかしいからよォ、あんま見ないでくんねーかな…」
「え、あ、ご、ごめん! つい…!!」
「おー」

慌てて仗助くんの背後に回り、クシを手にして取り掛かろうとしたところで固まった。だから、やり方分からないんだって…!!すっかり困っていた時だった。不意に仗助くんの手が伸びてきて、私の手を掴む。そして、クシを持つ私の手ごと握った。

「俺が動かすから、そのまま持っててくれりゃあ良いよ」
「ッ、う、うん…」

仗助くんは私の手を握ったまま、いつものように髪をセットし始めた。これなら確かに大丈夫だろう。だけど非常に恥ずかしい。ヤバい。目の前の鏡に映る仗助くんの後ろにいる私は思った通りに茹でダコのように顔を真っ赤に染め上げていた。
髪はみるみる内にセットされていき、見慣れた形になっていく。凄いなあ。手付きの良さに見惚れていると、ふと鏡に映る仗助くんと目が合った。へらりと笑いかけられて、再び顔が熱くなる。

そうして髪がいつものように綺麗にセットされた頃には、私は何もしていないのにも関わらずへとへとだった。