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遊園地 - 『曖昧』


『死神13』戦後

「さあ、どれに乗りたいんだい?」

 花京院くんは『死神13』の体内に『法皇の緑』を潜ませたまま、笑顔で私にそう言った。確かにぼんやりと周囲の風景を眺めていたけれど、まさかそれが遊園地で遊びたいのだと思われるだなんて。いや、まあ、そりゃあ遊園地は好きだし、アトラクションに囲まれて少しそわそわしていたかもしれないけれど、仮にも敵スタンドの術中だ。
 もごもごと口篭っていると、ジョセフさんが私の頭をくしゃりと撫でる。驚いて顔を上げれば、「まあたまには息抜きしても良いじゃろう」と楽しそうに笑った。ちら、と視線を他の皆にも向ければ、特に異論を唱える人も居なかった。…それなら、一つくらい楽しんでもいい、かなあ。

「で?どれに乗りたいんだ?観覧車はあんまし気が乗らねーけど、他のなら一緒に乗ってやるぜ」
「う、ううーんと…」

 ポルナレフさんが私の肩に手を置きながら言う。私もちょっと観覧車は嫌だなあ。ジェットコースターにコーヒーカップにバイキング、それからメリーゴーランド――どれも捨て難い。皆はどんなアトラクションだったら楽しめるかな、なんて考えていると、ぐい、と腕を引かれた。視線を遣れば、私の腕を掴んだまま、承太郎くんが口を開く。

「ごちゃごちゃ考えてねーで、乗りてえなら全部乗りゃあいいだろうが」
「それじゃあ最初は近場から攻めるとするかのーッ」
「おっ、コーヒーカップか!全力で回してやるぜッ!」
「気持ち悪くなってもしらないぞポルナレフ」

 私が言葉を挟むよりも先に、皆さっさと移動を始めてしまう。ぽかーんとしていた私は、一拍置いて、慌てて皆の背中を追い掛けたのだった。

16.11.04


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