おかしいな。何でまた会いに来たの?
わざわざ家訪ねてきたら無下に出来ないじゃん。
さっき意味深にこっ恥ずかしい事言ったのに。もう私、恥ずかしくて爆発しそうなんだけど。

感情が顔に出てたのか目の前に居るクラウドは苦笑いを浮かべていた。

「ごめん。いや、来るの迷ったんだけど·····」

クラウドはそう前置きすると照れ臭そうに頭をかいた。
やっぱりいつ見ても可愛い、何しても可愛い。もう会いに来たの許す。

「·····どうしても渡しておきたいものがあって」

そんな私の事はさておき。クラウドは言葉をだいぶ溜めた後、覚悟を決めて手に握りしめていた物を渡してきた。

私は目をぱちくりさせて受け取った物を見る。手のひらサイズのそれは可愛くラッピングされている。

「·····え、どうしたの?急に·····」

「うん、急でごめん!でも、今日渡さないともう渡す勇気が···じゃなくてー····タイミングがなくなりそうで·····」

「······う?·うん?、じゃぁ、中見ていい?」

私が尋ねると、そっぽを向いて頷いた。ほんとにいちいち可愛いんだけどこの子は。惚れた弱みだ。いや惚れてなくても可愛いと思う。
クラウドの可愛さに内心ニヤニヤしたいが、そんな顔彼に見せられないので我慢しながら手の中のラッピングを開く。
ラッピングの中から出てきたものに私の顔はみるみる笑顔になる。


「わぁぁぁああ!!!マキナバングルだぁぁああ!!!」

あ、やべ。嬉しさのあまり大きな声出ちゃった。
クラウドも私のその反応を見てきょとんとしている。それも可愛い!しつこいな私。
じゃなくて、すいません発狂して。
気恥ずかしさで一度咳払いをすると、遅れてクラウドがくすくす笑いはじめた。かわ·····

「ハハ·····良かった喜んでくれて。前付けてた奴、壊れちゃったから。もう買っちゃったかと思ったけど大丈夫みたいだね」

「覚えててくれたんだ·····」

思い出すのは二ヶ月前の任務の時だ。クラウドと一緒の任務でミッドガル周辺のモンスターの調査をしてる時、チームを守る為に私が大ボスに一人で突っ込んでいった。でもやっぱり一人じゃ足止めにしかならなくて、ピンチだった時にクラウドが駆け付けてくれて二人でなんとか倒すことが出来た。その時に私のお気に入りのマキナバングルがぶっ壊れた。
しかも、私は足の骨折など重症で、皆の所に戻る際もクラウドに手伝って貰ったりと何とも情けない姿を晒してしまった。
でも、それがあったから、段々とクラウドと仲良くなって、クラウドを知って気付いたらどうしようもなく好きになっていた。


「そりゃぁあんだけ悲しそうにしてたら···ねぇ」

「え、うそ。そんなにしょげてた私?」

「うん、凄く」

まじか。いや、別に大した物じゃないんだけどね?マキナバングル。
普通に神羅社員の売店で買えるものなんだけど。壊れた奴初任給で買った奴だったからやっぱり愛着わくじゃん?
今度のバングルはクラウドからの貰い物だから絶対壊さないようにしなきゃ!!


「大事にする!!ありがとう!」

「うん」

渾身の笑顔でクラウドに言ったら顔を背けられた。どうした?
それにしても、わざわざこれだけの為に来てくれたんだ。
て事はもう帰っちゃうのか····普通にさみしい。もう少し喋っていたい。
けど········

「クラウド」

「?」

「明日からの任務。ちゃんと帰ってきてね」

クラウドは明日から遠方に任務がある。何が不安かってソルジャー二人の付き添いの任務だ。しかもあの英雄セフィロスの。
厳しい任務に違いない。
クラウドだってソルジャー目指してるし、前一緒に戦ったから分かるけど戦闘のセンスはある。
でも神羅兵とソルジャーにはやっぱり埋めれない強さの溝がある。
不安は消えない。
私のタークスの仕事も厳しいし、いつ死んでもおかしくない仕事。だけど、黙って死ぬような事は絶対しない。私はちゃんと命を最優先にしてる、····はず。

とにかく、私は不安が消えなくてクラウドに柄にもなく。
任務行ってほしくないやら、一緒にいたいやら、寂しいやら、とんでもない事を言ってクラウドを困らせた。
挙げ句には、帰ってきたら言いたい事あるから絶対帰ってきてね。約束だからね。なんて思わせ振りな事を口走ってそのまま去ってきた。

その経緯があっての今。
思い出してまた恥ずかしくなる。
クラウドの顔を見れなくて俯く。

しばらく、どちらとも黙ってしまった。····気まずい!!!
な、何か言うこと!てか、返事!返事して?クラウド!私悲しいから!

「なまえ」

「ひゃいっ!」

待て待て待て、なんだひゃいって色々頭で考えてた時に話しかけられたから変な返事しちゃったよ!はずっ!!!
そんな事を思っていたら頭上からくすくす笑い声が聞こえた。

「何だよひゃいって····ハハ」

「いや、だっていきなり呼ぶから!」

「ハハ、ごめんごめん。そんなびっくりすると思わなくて」

「こちらこそごめん。なんか言いかけてた?」

やっと俯いていた顔をあげでクラウドを見た。こちらを微笑みながら見ていたクラウドの目とばっちりあって、なんだか反らせなくて見つめてしまった。
そしたら、笑ってたクラウドが真剣な顔つきになった。
え、なにその顔。かっこいい。ほんと端正な顔。してるなぁ····

「なまえ」

「うん?」


「俺も、帰ってきたらなまえに言いたい事あるんだ」


「うん」

「だから待ってて。絶対帰ってくるから。」

「····うん」

「絶対····待っててね」

真剣に言われたその言葉を何度も繰り返す。
何だろう。何を言われるんだろう。気になる。ドキドキと不安が混ざって複雑な気持ち。さっきのクラウドもこんな気持ちだったのかな。

早く聞きたい。早く言いたい。

「····待ってる。ずっと待ってる」

「あぁ」

「········だから聞かせてね?」

「······あぁ。」

私、今どんな顔してるかな?
クラウドは優しく微笑んでいた。

言いたい言葉が喉元まで来て抑えた。
これは帰ってくるまでのお楽しみなんだ。

絶対にまた生きて会おうの誓い。








ねぇ、クラウド。大好き。

早く帰ってきて。早く言いたいよ。









back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -