萩原さんと少し仲良くなれたような気がして、足取り軽く教室へ向かう途中。
「おはよう、名前」
「あ、おはよう真斗!」
ばったり会った真斗とあいさつを交わし、教室に向かう。
「あ、おはよう二人共!」
「真斗くん、名前ちゃん、おはようございます」
既に教室にいた音也くん、那月くんは朝にも関わらず眩しい笑顔だ。
思わずこっちまで笑顔になってしまう。
じーっ…
そう思っていたら、三人が無言で見つめてきた。
……寝癖、ついてたかな。
「……昨晩はよく眠れたようだな」
「名前ちゃん、昨日は何だか眠そうでしたからねぇ」
「そうそう、皆心配してたんだよ?」
……そんなに分かりやすかったのか、私。
心配かけないようにしなくちゃと思う反面、心配してくれて嬉しいという自分がいる。
「同室の奴とは上手くやれそうか?」
「うん。昨日聴かせてもらったんだけど、歌がすっごく上手いの」
「へぇー、そうなんだ!俺の同室の奴……トキヤっていうんだけどさ、すっげー神経質で真面目なんだけど、根はいい奴っぽい!」
「僕のところは元々知り合いですからねぇ。翔ちゃんは相変わらずちっちゃくて可愛かったですよぉ」
皆もそれなりに上手くやってるみたい。
……問題は、
「真斗たちの部屋はどんな感じ?」
「…………別に、今のところ問題は起きていない」
真斗の話によると、それほど険悪な空気ではないらしい。
少しずつ会話もするようになったとか。
「へぇ……友千香から財閥の話聞いたときはどうなるかと思ったけど、何だかんだで結構上手くいってるじゃん」
「仲良しさんになる日も近いかもしれませんねぇ」
「……それはないと思うが」
何だか、話を聞いてたらレンにも会いたくなったな。
そうだ、
「真斗、授業が終わった後に二人の部屋に遊びに行ってもいい?」
「今日、か?」
「うん。駄目ならいいんだけど…」
「いや、構わないが」
やった!
Aクラスでできた友達のこととか、歌の上手い美人なルームメイトのこととか、報告したいことがたくさんある。
「名前、今度俺達の部屋にも遊びに来てよ!トキヤも紹介したいしさ!」
「僕達のところにも来て下さいねぇ。翔ちゃんと名前ちゃんが一緒にいたらもっと可愛いと思いますし」
「ありがとう、今度お邪魔させてもらうね!」
二人と約束してから、私は昨日の分を取り戻すかのように気合いを入れて授業を受けた。