ディーノが日本に来ているらしい。チョコレートは郵送にしようかと思ってたけど、近くにいるなら直接渡した方がいいに決まってる!そう思った私はロマーリオさんに頼んで滞在中のホテルを教えてもらい、こうして訪ねて来たわけだ。
「あ、ロマーリオさん!」
「来たか嬢ちゃん」
「すみません無理言っちゃって」
お礼を言ってから教えてもらった部屋に向かい、慎重にドアを二回ノックする。……なかなか返事が返って来ない。
(もしかして、いないのかな)
タイミング悪かったかな、なんて思っていたら、内側からドアが開いた。
「久しぶりだな、名前」
「ディーノ!」
久しぶりに会ったディーノは前と変わっていなくて、相変わらず金色の髪が眩しかった。
「……」
「どうした?」
「久々のディーノに感動してた」
「……、一緒だ」
俺もドキドキしてる。そう言って微笑まれてしまえばもう抑えるものは何もなくて、私は思いっきりディーノに飛び付いた。
「…おかえり!」
「…ただいま」
それから私は昨日作ったチョコを渡して、ディーノはその場でひと口食べて、美味しいよって言ってくれた。
「じゃあ、俺からはこれを」
可愛らしくラッピングされた細長い箱には、これまた可愛らしいデザインのネックレスが入っていた。
「わぁ…」
「気に入ったか?」
嬉しすぎて言葉が出なくて、私は何度も首を縦に振った。
「つけてやるよ」
後ろに回ってネックレスをつけたディーノは、そのまま私を包み込む。
「会いに来てくれて、嬉しかった」
「ディーノ、だいすき」
「俺も」
愛してる、
甘い言葉を囁く声や背中の温度に触れる度に、いつも思う。――あぁ、この人には敵わない、って。
(あーもうイタリアに連れて帰りたい)
(いいよ)
(は、)
(……嘘)
(……)
(もう少し大人になったら、迎えに来てよ)
(…あんまり可愛いこと言うなって)