「あれ、宍戸じゃん」
家から徒歩15分のコンビニに着くと、そこには見知った顔。どうやら目的は同じらしい。
「よぉ、買い物か?」
「クソ兄貴のね。チクショーあの時グーを出していれば…!」
「俺も兄貴。チクショーあの時コンボが決まっていれば…!」
「「……」」
「さっさと買うか」
「そうだね」
ありがとうございましたーという店員の声を背に、また寒空の下へと足を踏み出す。冷気がピリッと頬に刺さった。
「あーなんかだんだんムカついてきた!!」
「何だそれ、まあ気持ちは分からなくもねぇけどよ」
「よーし閃いた!宍戸、これあげるわ。兄貴に頼まれた雪見だいふく」
「お、サンキュー。んじゃこれやるよ。兄貴に頼まれた雪見だいふく」
「ありがとー」
「皆考える事は同じってか」
コンビニ裏のスペースで雪見を食する怪しい二人組。今の私達を表すにはこれがぴったりだと思う。
「んーうまい」
「やっぱり冬のアイスはオツだな」
「ざまーみろ兄貴ー」
「はは、」
(…やばい、寒くなってきた)
(…俺も)
(宍戸!ジャージよこせ!)
(誰がやるか!)