「エースー…お前最近どうなんだよい」
『あ?何がだよ』
昼休み。
昼食を済ませたおれは教室でいつも通りリーゼントとパイナップルと共に自販機で買ったパックジュースを飲んでいた。
そしたらいきなりパイナップルからのこの質問。なんだ、最近って。おれはいつも絶好調だっつの。
「なまえだよ、なまえ」
『ゴフッ!?げほっ…ゲホゲホッ…オエッ……!』
「汚ね。吹き出すなよ」
な、何言い出すんだっ、このリーゼントはっ!!
なまえ!?なまえとはそりゃ…あ、あの日以来結構仲良くなってきてるけどさ……つーか…!!
「呼び捨てにすんな!!」
「ハア?…何言っちゃってんの?コイツ」
「バカなんだよい」
コイツら…!お、おれがあの日どんな気持ちであいつの名前を呼んだと思ってんだ…!!
おれはなァ…!おれは…!いつものポートガス・D・エースを演じ切って声も震えたり裏返ったりしねーよーに一言一言必死に言葉を紡いで…!!
「おーなまえー」
「はひ!?」
痛って!!舌!舌噛んだっ!痛ェ!!!
つーかなまえは!?どこだ!?今の情けねェ声聞かれたか!?
「"はひ"ってなんだよい」
「なまえいねーし、嘘だし、お前ダセェし」
「必死だねぃ…エースくん?」
こ……!こいつら…!!
「お前らいい加減に…っ」
『エースく……、え、エース……』
「お、まじでなまえの登場」
「なまえ!」
『?まじで私登場…?』
「や、なんでもねェぞなまえっ!それよりどうした!?」
『あ…うん、あの、今日…放課後約束してたじゃない?駅前のドーナッツ屋さんに行く…』
「ああ!終わったら直で行くだろ?」
『あの…その…少し、遅くなりそうなの…』
「何かあったのか?呼び出しか?」
『よ、呼び出しだなんて…っ!そ、そんな…!!』
ん?呼び出しぐらいでそんな顔赤くしなくても良くねェか?おれなんてしょっちゅうされるぞ。とくにテスト前後な。
まあ、なまえは真面目な方だし呼び出されることなんてなさそーだもんなー…つーか、そんなことで恥ずかしがるとか…まじ可愛いんですけど。
おれ今日ツイてるわー。また新しくなまえのこと知れたな、うん。
つーかちょっとくん付けになりかけてたな。まー…可愛いし許してやるか。
「じゃあ、教室で待ってるからよ。終わったら戻ってきてくれ」
『あ…う、うん…!ありがとう!』
「おう。急ぎすぎてコケんなよ」
『コケないよっ』
「ははっ」
あー……ヤベェな。前までちょっと気になる程度だったのに。あの日から…近くの存在になってから……おれ、アイツにめちゃくちゃハマってる。
…なまえっておれのことどう思ってんのかな。マルコとサッチと喋ってる時とか結構話しやすそうなんだけどなー……
「おい、エース」
「ん?」
「呼び出しってよ、センセーじゃねーんじゃないのか?」
「じゃあ、誰からだよ」
「男。」
「ハァ!!?」
男!?おと、男…っ!?えっ!?男からの呼び出しなのか!?
「確かに、呼び出しか?って聞いた時の反応を見る限り男からの呼び出しの方が合点がいくなァ…」
「だよなー。呼び出されたぐらいであんな反応しねーだろ」
「…………」
「…おーい、エースー」
「ダイジョブかー?」
おとこ…男………?なまえが…男に呼び出し……
「まー、なまえに彼氏がいてもおかしくねーしな」
「呼び出されるのも仕方がないって話だよい」
「……ぇ………る…」
「あ?」
「絶っっ対ェ阻止する!!!」
「……マジで言ってんのか、お前」
「重症だよい…」
まじだよっ!大マジだっ!!なまえに告白なんてさせるかっ!おれだってまだ告白してねーんだぞ!!!
物事には順序ってもんがあるんだっ!だからおれはちゃんとなまえと"お友達"から始めて…っ!
順番的に言ったら告白するのはおれの方が先だろっ!!?それがスジってもんじゃねーのかっ!?
「彼氏でもないのに出しゃばらない方がいいぞ、エース」
「そーだそーだ。なまえはお前のじゃねーんだよ」
「ウッセー!!んなことわかってるよっ!」
ダメだっ!どう考えてもダメだっ!!
「マルコッ!おれと掃除当番代われ!」
「やだよい」
「じゃあサッチ!!」
「お断りー」
「何だお前らっ!この薄情者っ!親友が困ってる時ぐらい助けろよっ!」
「「焼肉」」
「あ?」
「おー気が合ったねぇ…サッチ」
「だなー」
「…焼肉………、奢れってことか…」
「「そーゆーこと」」
くっ…!コイツら…!ゲンキンな奴らだなっ!!
「だがよい、エース…考えてみろよ。焼肉奢ることで掃除当番代わって、なまえが告られんの阻止できるかもしれねーんだぞ?」
「そう考えたら安いもんだろ?」
……ま、まあ…確かに……
……よし!背に腹は変えられねェ!!
「食い放題のとこしか行かねェからなっ」
「「一番食うのお前だけどな」」
絶対阻止!!!