数日後、アマゾン・リリーに到着したスティン達は緊急特例により男性禁止である女ヶ島湾岸の停泊を許可されていた。
「エ〜〜ス〜〜〜〜!!」
「危ねェよ!!鎮まれ麦わらァ〜〜〜〜!!」
「どこ行くんだ、暴れるなァ!!!火拳ならもう…」
「うわあああああああ!!!エースはどこだァ〜〜〜〜!!!?エース〜〜〜!!!」
「手に負えねぇ!!麦わらァ〜〜〜!止まれ〜」
目が覚めたルフィはボロボロの体で暴れまわり、それで気が済むわけでもなくひたすら暴走している。
傷口が開いては取り返しのつかない事態になる可能性がある為、シャチやペンギン達クルー総動員でルフィの暴走を止めようとするも全力で暴れ回る彼を誰も抑えることができないでいた。
「アレを放っといたらどうなるんじゃ…」
「………まあ、単純な話…傷口がまた開いたら今度は死ぬかもな」
「…………」
神妙な顔つきのジンベエとロー。そんな場に不釣り合いな程上機嫌なスティンが背中からローに抱きつく。
『ロー!』
「スティン……、風呂には入れたのか?」
『うんっ!』
「…ご機嫌だな」
『だって、久々のお風呂だったしすっごくキレイで広いのっ!いい匂いもするでしょっ?』
女であるスティンが島に立ち入るのは何の問題もなく、九蛇海賊団の好意により入浴することができた。スティンは機嫌良くローに自分の香りを訴えかける。
まだ濡れている毛先からポタリとローの肩に雫が落ち、ローはそんな彼女の髪に触れた。
『こんなとこなら一生住んでもいいかも!』
「夢の女人国のぞいてみてェなァv」
「死ぬぞお前バカだなv」
スティンの話を聞いていたクルーたちの言葉につられ、ベポの鼻の下も伸びる。
「メスのクマいねェかな」
「「「女人国だよ!!!」」」
「すいません…」
「しっかし…スティンもやっぱ女なんだなァ」
『ん?』
シャチの言葉にスティンは首を傾げ、ローに抱きついたまま振り向いた。
「九蛇海賊団のいい匂いがするv」
『…変態…』
「それ以上スティンに近寄ったら殺す」
「「「すいません…」」」
シャチ達が少しでも…と興奮気味にスティンから香る匂いを嗅ごうとする。それを見たローは"ROOM"を発動しようとし、シャチ達に殺気を向けると彼らはローにバラされる恐怖に慌ててスティンから離れた。
『ん…?ねぇ、あれ見て…大型の海王類じゃない?』
「何やってんだ!?ケンカか!?」
それからしばらくの時が流れ、なんとなく海を見ていたスティンは遠くで暴れる海王類に気付き、シャチたちに声をかける。
「死んだ!!何かにやられたぞ…!!」
「あのデケェのが…!!」
「相手の生物は見えなかった」
「恐ろしい海だ…!!」
暴れていた海王類は海へと沈んでいった。すると、突然ローたちが停泊する女ヶ島湾岸に海から人が上がってくる。
「え!?人!!?」
「おい、お前誰だ!!!」
突如海から現れた白髪の老人にざわつくハートの一味。スティンはつい先日対面したその老人を見て目を見開いた。
「いやあ、参った。おお、キミ達か…シャボンディ諸島で会ったな」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
「"冥王"レイリー!!!」
その人物は海賊王ゴール・D・ロジャーの右腕だったレイリー。レイリーは海水で重くなった衣服を絞って水をきる。
「いやいや…船が嵐で沈められてしまってねェ。泳ぐハメになってしまった。思うほど体が動かんものだな、年をとった」
『シケ……?"カームベルト"に嵐はないでしょ…?』
「って事はそんな遠い海で遭難してずーっと泳いできたのか!?」
「じゃあさっき海王類とケンカしてたのも…」
「あんたか……!!!」
『…さすがあの海賊王の右腕…!』
ただ者じゃないことを再認識し、尊敬の眼差しを送るスティン以外はレイリーの驚異に気持ちも体も後ずさりしてしまった。
「あァ…そうそう」
「……………?」
「ルフィ君がこの島にいると推測したのだが」