俺たちは出会った。


今でも鮮明に覚えてる。


忘れられないあの夏の日。


血は繋がっていないが、


兄弟である俺たちの元に


スティンが現れたんだ。















「エ〜〜ス〜〜!!」

「ん?」





ここは穏やかな町、フーシャ村。そこに住んでいるエースは海を浜辺で眺めていた。





「じぃちゃんがすっげぇかわいい女の子連れてきた!」

「女の子?」





弟のルフィの言葉に首を傾げながらもエースはルフィと共に家へ戻って行く。家に入ると、ガープの隣には銀髪でショートヘアの女の子がいた。白いワンピースにピンクの麦わら帽子。

とても可愛いらしい顔立ちのその少女はなぜか左頬だけ腫れている。





「おっ!エース帰ったか。紹介しよう、ワシの娘のスティンだ」

「「はあ!?」」





ルフィとエースの声が重なった。2人の少年の予想通りな驚きにガープは豪快な笑い声をあげる。





「ジョーダンだ!ぶあはははははは!!」

「何言ってんだ、じじぃ…」

「びっくりしたー!!」

「スティン、自己紹介しなさい」

『……マリーネ…マリーネ・スティン』

「よろしく!俺ルフィ!!」

「…俺はエースだ」

『ルフィ……エース……』





初めて聞いたスティンの声はとても幼く、優しいものだった。そしてスティンは笑顔を浮かべ、片手を差し出す。





『よろしくね』

「……!」





スティンの天使のような微笑にエースの頬は少しずつ赤く染まり始めた。





「おう!ニシシシッ!」





スティンが差し出した手をルフィが握り返すのを見て、エースはルフィとスティンの手を無造作に断ち切る。
エースの行動に驚きの色を浮かべるスティンと頬を膨らませ、ぷんすか怒るルフィに頭より体が先に動いていたエースも自身の行動に内心では少し動揺していた。





『!!』

「何すんだよ、エース」

「ん…?あ、いや悪ィ……体が勝手に…、」

『仲良くしてね、エース』

「……お、おう…」





ルフィと同じくエースもスティンと握手を交わす。そして、頬をほんのりピンク色に染めながら笑顔を見せた。





「(やべ……マジでかわいー…)」





エースがスティンに対する思いを理解するのにそう時間はかからなかった。















なんでスティンがじじいに連れられてここに来たのか、


俺たちは知らない。


別に知ったから何か変わるわけでもないから


わざわざ知るつもりもねェ…





俺はありのままで


自由なスティンが好きだから、


だからスティンも、


俺がゴールド・ロジャーの息子だと知っても、


俺のことを好きになってもらいたい。





嫌われ者の俺だけど、


初めて好きになった女にぐらい


愛されたいと願うのは


わがままか?





他の誰が受け入れてくれなくても、


いつか、


スティンにだけは受け入れてほしい。















(なあ、スティン…どうして左側の頬だけ腫れてるんだ?)(あ、これじぃちゃんに殴られた)(ハァ!?なんでっ)(勝手に森に入ったから)



(愛の鉄拳なんだって)