『エースッ!』
「よう…やっと会えたな」
『会いたかったー!』
スティンは自分の背後に現れたエースに抱き着き、幸せそうに笑った。エースはそんな彼女を抱き留めて肩に腕を回す。
「お前どこほっつき歩いてんだよ…?」
『えー?私、アラバスタを出てから寄り道せずにエースを探してたよ?』
「じゃあ、この辺りで入れ違いになったか…」
海軍を前にしているにも関わらずマイペースに2人は話し続けていた。すると突然、スティンの耳元で風を切る音が聞こえる。
『…!』
「噂通りフザけた野郎どもだ…!!オレを前に余所見とは…いい度胸じゃねーかッ!」
男はスティンを銃で撃ったのだ。ロギア系のスティンには普通の銃弾は効かない。放たれた銃弾自体かすりもしなかったが、スティンはエースと気分よく話しているのを邪魔されたことに苛立った。
『…殺す』
「おいおい…スティン。女の子がそんな簡単に暴言吐くなよ…」
『だって…!』
「お前がそうやってムキになれば奴らの思うツボなんだぜ?」
『…わかってるよぅ…』
エースに言われ、スティンはふて腐れる。エースはそんなスティンの頭をポンポン、と撫でて体ごと男に向かい合った。
「…オレ達のこと見逃すって考えは?」
「あるわけねェだろ」
「……だよなぁ」
エースはボリボリ頭をかき、俯く。男がエースたちに向かって走ってきた瞬間俯いていた顔をあげ、エースはスティンを担いで高く飛び上がった。
『わっ』
「陽炎!!」
男を中心にゴウッと燃え広がるエースが放った炎。何か叫んでいる男の声に反応することなく、エースはスティンを抱えたまま逃走する。
『ちょ、っと…エース!』
「ん?」
『なんで逃げるの!?』
「むやみやたらと戦ったって仕方ねーだろ?」
『でも…!』
エースの逃走にご不満な様子のスティン。エースはゆっくりとスティンを肩からおろし、彼女の唇にキスを落とした。
『ん…っ』
「…スティン」
『…っ、はっ……ん…!』
「…ん、」
『ん〜……ぷは……!え、エース!何いきなり!』
「…久しぶりに会ったっていうのにほっぺた膨らませてプリプリ怒ったスティンなんて見たくねーんだけど?」
『………』
スティンの左手を優しく強く握るエース。スティンは俯きがちに頬を赤に染め、小さな声でゴメン…と呟く。エースは嬉しそうにスティンの頭を優しく撫でてスティンの左手を握ったまま歩き始めた。
「ルフィのとこはどうだった?」
『…楽しかったよ。
ルフィ、いい仲間を集めてる。皆、戦いの最中に強くなっていってたし…ルフィも最後はボロボロになってたけど、クロコダイルをぶっ飛ばしたり!あの子たちはこれからどんどん強くなる…!強敵になりそうだよ』
「クロコダイル収容されたしなァ。そうか……いい仲間に会えたのか、ルフィの奴は…」
『うん!あの子たちがいるなら何も心配しなくて良さそうだよ』
「お前がそこまで言うなんてな…随分買ってるみたいじゃねェか」
へへっと笑うスティン。ストライカーを止めていた場所に向かい、2人は再び目的の旅をする為、海に出る。
「そう言やァ…」
『ん?』
「…浮気してねェだろうな」
『ふふっ…!ゾロがかっこよすぎて…』
「なに!!?」
『あはっ!冗談だよ!離れてもエースしか頭にありませんでした』
「……笑えねェ嘘つくなよな…ったく……今の話が本当だったらルフィの仲間を殺しちまうとこだったぜ……」
『エースこそ浮気してないよね?』
「するかよ」
数日ぶりに再会したスティンとエース。いつにも増して2人のラブラブっぷりは凄かったとさ。