むかついたから真似した。私を見て欲しいかったから。でも怒られてしまった。別に怒らしたかったわけじゃないのに。私を視界に入れて欲しかっただけなのに。

ユウジはいつも小春小春。小春としか言わない。さっきだってそうだ。今日生徒会かー、小春に会いたいー、小春んとこ行くー!そればかり。私がいるというのに本当に行きそうになったから必死に止めたのだが。この男は彼女がいるというのに他の女、いや男のところに行こうとするんだ。


「小春に会いたいー…」

「あっそ。」

「小春ー…こはるぅー…」

「…」

「まだ帰ってこぉへんのかなー…」

こいつはまだ言うか…!そろそろ我慢の限界だ。

「…帰ってきたら次は私が小春ちゃんとラブラブするんやからユウジはお預けやで」

「は!?」

「は、ちゃうわ。って小春ちゃんはユウジだけのものちゃうし。ってか小春ちゃんものちゃうわ。」

「お前…っ!うわきか!」

「…は!?」

小春ちゃんを取る発言で怒られるかと思っていた。いくらユウジと私がカレカノでも絶対ユウジは小春ちゃんの方が何倍も好きなはずだ。悔しいがこれは認めるしかない。
だから、だからまさか私が浮気だと言われるなんて思ってもみなかった。

「小春小春って何やねんお前!死なすど!」

「い、意味わからん!小春小春言うてんの自分やん!」

「俺はえぇねん!」

なんて自分勝手な人間なんだ。自分の事は棚にあげて…。

「やから今度小春って言うてみぃ!ただじゃおかへん…っておい!」

ユウジが言い終わる前に教室から出ていった。もうあんな奴無理だ。付き合ってらんない。
私は次の授業があることを忘れて、ただただ走った。



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