「好き」
「かわいい」
「愛してるよ」
「かっこいいね」

 ほんの少し前までずっと言われていた実のない言葉の羅列を思い浮かべた。今聞く同じ言葉たちは、変わらず恐怖をもたらしながらもゆるやかに甘やかに自分の中に広がって解けて、自分の中にある何かの輪郭をぼんやりと浮かび上がらせる。
 時々互いの寮の部屋に忍び込んで数時間を過ごす。先輩の手に触れる。今さらながら照れるのか、視線をさ迷わせるその手の主に指を絡める。その人はそっぽを向いたまま、絡めた指に力を込めてくれる。
 そして今日も、自分の心臓がこの体にあることを知る。

 おめでとう。あなたの呪いは成就した。



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