蒸し暑い。夏なんだからそれは当たり前のことなんだけど、ベッドに横になってるだけで汗が滲むってどういうこと。


「…仕方ねぇだろぉ゛」

「部屋にスクアーロがいなければちょっとは涼しいんじゃない?」

「クーラーつければいいだろぉ」

「クーラーは嫌いなの。出ていって」


窓をあけているというのに全く涼しさが感じられない。そもそも風がないのだ。


「…日本よりマシか」

「あぁ゛?」

「日本は湿度が高いから、蒸し暑くてジメジメする」

「…あぁ…」

「とりあえず出ていって」


ベッドの上、スクアーロに背中を向けて目を閉じる。日本の夏といえば夏祭り・浴衣・花火・肝試し?浴衣なんて暑そうなものなのに、不思議と着てしまえばそれほどでもない。

黒いワンピースを着ただけの格好でため息を吐く。スクアーロの気配は変わらず背後に鎮座する。あたしの部屋のソファで時折ギシリと沈むのは、体勢を変えるから。


「…冷てぇなぁ」

「そう?あたしは暑いけど」


そうじゃなくて、と背後から哀しげな声。この暑苦しい夜に、長い髪がうっとうしい男。…あぁ嫌だ。見たくもない。


「…お前俺のこと嫌いだろ゛ぉ」

「何を今さら」

「………」


今度こそ完全に静かになったスクアーロ。たまに聞こえるため息と鼻を啜る音は聞かないことにして、とりあえず今のうちに寝てしまおうか。






夜は長い




「マーモンがいたらSランクの報酬払ってでも追い出してもらうのに」

「そこまで嫌がるなぁ゛……」




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