物事には優先順位がある。それは勿論理解している。そしてその優先順位が必ずしも大切なもの順でないことも理解している。
いやしかしだな、こいつに限っては優先順位=大切なもの順なんじゃないかと。
そう思うわけですよ。あたしは。
「…寒い」
「…悪かった」
「半裸の恋人放って何してるの」
「ボスの呼び出しとあらばいつだってどこにでも駆け付ける」
「アンタなんか死んじゃえば」
3週間ぶりの再会。どうやら燃えてたのはあたしだけのようです。いや、勿論レヴィもそれなりに燃えてたみたいだけど。でも結局冷静で、あたしの服を脱がすだけ脱がしといて携帯の着信に「ボスの呼び出しだ」ってそれは何!
しかもボスの着信音だけ違うという。他は一緒。一纏め。地味にピリリリ鳴るわけですよ。切ないね!
「レヴィは結局あたしなんかよりボスが大切なんでしょ」
「自分をなんかなんて卑下するな」
「お前のせいだよ」
あぁ、なんて空気が読めないんだろう。本当に死んじゃえばいいのに。目の前には息を切らせたレヴィ。廊下の端から端を走ってボスの元に行き、戻ってくる時も走って来たらしい。…やっぱり死んじゃえってのは訂正してあげよう。
「…すまなかった」
ギシリ、沈む体に睨みあげる。この体勢は、もしや再開?
ってそんな甘いわけないだろ!
「今日はしない!もう寝る!」
「な!?」
後悔するがいい!普段だったらボス優先でも見守ってあげられるけど、時と場合を考えてよね!かわいい彼女と3週間ぶりに会って3週間ぶりのいちゃいちゃタイムですよ!
「部屋戻れば?」
「…仕方ない」
ギシ、もう一度ベッドが跳ねる。かと思えばベッドから離れる足音。…別に淋しいなんて思ってないんだから。
カチャン
ん?軽い音にくるまったシーツから顔を出せば、レヴィは部屋の鍵をかけていた。あれ?なんか嫌な予感?
「………レヴィ?」
「"嫌だ"を"イイ"に変えるところに男の実力が見えると思わないか」
……あれ?目が、真剣だ…
天秤は傾かない
つまり?
「…結局どういうことよ」
「ボスは尊敬している」
「で、」
「…お前は、あ、愛して、いる」