門外顧問チームのアジトは今日も静か。今日は割りと穏やかな日で、仕事のないオレガノはシャツにタイトなスカートというラフな格好をしているし、ターメリックもまだ寝ているようだ。


でも、こんな日でもバジルくんは変わらない。


「あれ、バジルくん今日任務?」

「いえ、おぬしこそ」


廊下を歩いていたあたしはたまたまバジルくんと会った。バジルくんは普段どおりの服を着ている。そしてあたしもシャツにスーツパンツというジャケットを欠いただけの格好をしている。


「あたしは、さっき帰ってきたの」

「そうですか。お疲れ様です」


バジルくんが笑う。あたしもつられて笑う。


「…ところで、その荷物は?」


バジルがいうその荷物とは、あたしが両手で抱えるカゴのこと。


「あ、うん。休む前に洗濯物洗おうと思って、折角だからみんなの分も集めてるの」

「拙者が持ちます」

「いいよいいよ。バジルくんだって久々のお休みなんだから、ゆっくりしないと」

「それはおぬしだって同じでしょう」


バジルくんがふて腐れたようにあたしの抱えるカゴを取り上げる。それには今度はあたしも納得できなくて、眉根に皺を寄せてしまった。


「…じゃあこうしましょう」


それに気付いたのか、バジルくんが提案した妥協案。


「拙者もこれから自分の洗濯物を洗います。だから一緒にやりませんか?」


オレガノもターメリックも親方様も気安く任せてくれたのに、なんて思ったけれどたぶんこれがバジルくんの譲れるギリギリなんだろう。


「…わかった。じゃあ一緒にやろっか」


ホッとしたように笑うバジルくん。あたしが両手で抱えていたカゴが今では、バジルくんが片手で軽々と持っている。








晴天目録
一人よりは二人がいい






洗濯物を洗い終わって干している中(勿論女の子の下着は別のところ)、あたしが手に取って広げたフンドシに風に揺れる洗濯物の向こうからバジルくんの悲鳴がきこえた。


(バジルくんってフンドシなのね)





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