「腹痛い」
銀ちゃんがそう言ってお腹を抱えてる。あたしはソファに座ってお気に入りのアイスティーを飲みながら「ふーん」とだけ言う。
目の前のテーブルを隔てた向こう側のソファでゴロゴロしながら唸る銀ちゃんが、こっちを恨めしそうな目で見る。
「つめてー」
銀ちゃんがあたしから目を逸らしてそういい捨てた。だってソファの上でゴロゴロするなんていつものことじゃない。あたしはもう一度「ふーん」と言う。
カラン、汗をかいた透明のグラスの中で溶けた氷が音を立てた。
「冷えたんでしょ」
あまりにもしつこく唸るからそう言ってあげれば、今度は眉間に皺を寄せた銀ちゃんが「いてぇ」と小さく零す。
「布団かけてあったかくしてれば」
保冷ポットからアイスティーのおかわりをグラスに注ぐ。
そしたら再び恨めしそうな目をした銀ちゃんと目が合った。
「…布団もってきて…」
今にも消え入りそうなか細い声。部屋の隅では新ちゃんと神楽ちゃんが震えている。
「それとも」
テーブルの上にはグラスが2つと保冷ポットが1つ。
あたしのグラスと、銀ちゃんのグラス。
銀ちゃんのグラスは既に空っぽ。
銀ちゃんがお腹を抱えたまま訝しげにあたしを見た。
「土下座する?」
にっこり笑って帯から取り出した小さなビンをテーブルに置いたら、銀ちゃんの額に汗が滲んだ。
この下剤効くのね。