視界がチカチカする。

えーと、と状況分析。

心なしか頭痛がひどい。
そして吐き気も酷い。

視界に飛び込む色は白。

ぐるり、見回すように体を起こす。

そうすれば隣に金色の髪の毛の、ボスが横たわっていた。


「なまえ、起きたか」


んん?
表情を変えないで声のした方を見上げれば、そこには困り顔のロマーリオ。
そんな顔するな。辛気臭い。

やっとすっきりしてきた頭はやっぱり少し痛む。
隣ですやすやと眠るボスの腕に繋がれた細い管、そしてそれを辿れば点滴バッグ。
中身は赤い。

そしてここは病院でもなんでもなく、ただのキャバッローネの屋敷だ。


「気分は、」


ロマーリオがあたしの上半身を支えるようにしてその無骨な手のひらを伸ばした。


「悪いような、悪くないような…?」


曖昧な返答を返しながら、目線だけでボスの容態を問う。
そうすればロマーリオはさすが長いこと一緒に働いてきただけある、あたしの意思を汲んで笑顔になった。


「なまえの血液を輸血してる、状態はいいそうだ」


ふむ。
それは何よりだ。

うっかり部下が目を離した隙に狙われた若きボス。
まだまだ幼い面影を残している。

出血多量、一番近いのはキャバッローネの屋敷、専属の医療チームもいるし!
と運び込んだはいいものの、輸血バッグがない、という緊急事態。

お前ら9代目の死にショックうけすぎだろ…頭を抱えるあたしと、病院の手配をしようと電話に手を伸ばすロマーリオ。

仕方ない。


あたしの血液を輸血しろ、


…とまぁ、こんな流れで今に至るわけだ。


まぁ、ボスが無事ならいいんだがな。




隣のベッドの上、ボスがうっすら目をあける。

痛みかなんなのかわからないが眉をしかめてうんうんうなった後、やっとこっちを見た。



「ディーノぼっちゃん、気分はどうだ」


まだ輸血バッグの中には3分の1程の血液が残る。


「悪いような…悪くねぇような…?」


その曖昧な返答に、ロマーリオが「輸血するとうつるのか」と吹き出した。










すくいあげた半分










「え、これなまえの血か?!」

「あぁそうだ。悪かったな。目を離して」

「いや、でも、それより…」

「いいんだ。その代わりディーノぼっちゃんが立派なボスになるまで、あたしはボスとは呼ばないよ。」

「そうじゃなくて、いや、それもあるんだけど」

「なんだ。あたしには言えないことか」

「…今、俺の血舐めたらなまえの味すっかな、とか、」

「……元気そうで何よりだ」




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