suger days!
□願い事 [1/1]
『明けまして、』
『「おめでとー」』
手に持っていたコップを総悟のコップにカチンと音を鳴らして軽くぶつけた。
今日から新しい年です。
『今年もよろしくね』
「今年こそは●●●してもらいますぜ」
『しないから』
一緒に年越さないかってことで沖田家の姉弟を呼んで、家で年越しパーティ。
ちなみにミツバさんはというと、あたしの姉ちゃんの部屋で姉ちゃんと話しています。
『あ、そーだ。総悟、初詣行かない?』
「えーめんどくせェ」
『行こうよ!おみくじ引きたい!』
面倒臭がる総悟を引っ張って、玄関へ向かう。
『姉ちゃーん!ちょっと総悟と初詣行ってくるー!』
「肉まん買ってきたらお母さんに伝えといてあげるー」
あの姉貴、いいじゃんお母さんに伝えることくらい。
全く誰に似てケチになったの、お父さんだなあのヤロー。
『行ってきまーす』
まだ母の了承得てないけど、とりあえず家を出ることにした。
「さみィ」
『あーごめん、連れ出して…』
よく考えたらすごく自分勝手だよね。
ちょっと反省すると、ぽんぽんと頭を撫でられた。
『総悟?』
ちら、と総悟を見上げると、鼻真っ赤にしながら、いいんでィと告げた。
「いつか体で払ってもらいまさァ」
『それは無理!』
いつもの冗談を軽く流し、ありがとね、とお礼を言った。
‥‥‥‥‥‥‥
『うあーすごい人だかり』
「初詣だからねィ」
神社はすごく混んでいて、お賽銭入れるのに何十分か待たされそうだった。
『総悟、お賽銭並ぶ?』
「並ぶ」
意外、待つのはめんどくさい、とか言うと思ったから。
「夏凪、手出しなせェ」
『手?』
そっと手を差し出すと、総悟にぎゅっと手を握られた。
「はぐれるといけねーならな」
『そうだねー』
そのまま大行列の最後尾に並んだ。
すごく時間が掛かると思ってたけど、案外進むのは早くて。
『あ、順番』
総悟と他愛もない会話をしていたらあっという間だった。
二回お辞儀をし、お賽銭を入れ二回手を叩く。
ぱんぱんっ
『(今年も楽しく過ごせますように。健康でいられますように。テストの点が上がりますように。彼氏が出来ますように)』
「今年こそ夏凪とヤ…ひとつになれますよーに。夏凪が俺に服従してくれますよーに。夏凪が淫乱な●●になってくれますよーに。姉上が健康でいられますよーに。夏凪がメイドのコスプレしてくれますよーに。夏凪とヤれますよーに」
『すいません願い事だだ漏れなんですが。っていうか最初の願い事なんで言い直したオイ』
しかも最初と最後ほぼ一緒じゃねーか。
ツッコミどころが満載過ぎるわ。
『さて、おみくじ引きますか!』
あっちとおみくじを指差して、総悟を誘導する。
「せーので引きやすぜ」
『うん……』
『「せーのっ」』
……………。
『お、やた!大吉!』
「俺もでィ」
『すごいね、やったじゃん!』
願い事…おもう通りになる。
失物…男子の知る事あり。
学問…安心して勉学せよ。
争事…勝つが進むはあし。
恋愛…自我を抑えれば大吉。
病気…軽し なおる。
おぉ、中々じゃないか。
恋愛の自我を抑えればってとこが気になるけど。
「夏凪、出産どうだった?」
『やすし心おだやかに…だけど、なんで?』
「や、なんでもないでさァ」
………ま、いっか。
『じゃあ総悟の願い事は?』
「おもう通りになる」
『あたしと一緒だ』
そう言うと総悟はまたあたしの手を握り、帰るかァ、と言った。
「言っとくけど、願い事は教えやせんぜ」
『さっき堂々と変態的な願い事してたのはどこのどいつだ』
まあ、いつものことか。
そう思いながら、人混みを抜けて神社から出た。
手は繋いだまま。
『総悟、今年もよろしくね』
「それさっき聞いた」
ずっと総悟の隣で仲良くやっていけたらいいな。
それが一番の願い事だよ
("夏凪の隣にいられますように")
(他人に願い事言ったら叶わねー事くらい)
(わかってまさァ)
だからこそ胸に秘めた想い
いつか叶うと良いなと願いをこめて
―――――――
ほんとに大事なことをわかってるから言えない願い
…伝わりづらくてごめんなさい
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