suger days!

□幼馴染み [1/1]




「……い」

『…んー……』

「おい」



ふわふわした意識のなか、声が聞こえた。
誰だろう、なんて考えてる余裕はない。
なぜなら眠いから。

反射的に声がする方向とは別の向きに寝返りをうち、耳をOFFにした。



「おい」

『…………』

起きろっつってんだろーがァァァ!

うわっ!!



突然の大声に、ビクッと身体を揺らせながら起きた。
こんな朝っぱらからありがた迷惑な起こし方をしてきたのはとなりの家に住んでいる総悟だった。



『なんなの朝から…』

「夏凪を起こしに来たんでィ」

『…まだ6時なんですけど』



おじいちゃんも犬の散歩に行ってない時間帯だよ。



「善は急げでさァ」

『え、何、学校いいことあったっけ?』



すこし考えてみたけど、全く思いつかない。
あるとしたら、友達と会えることかなあ。



「朝の教室でふたりきりって…なんか萌えるだろィ」

『萌えねーよ』



ダメだ、コイツの言うことは聞かないほうがいい。



『あと10分は寝かせて…』



そう言って布団に潜ると、熱い視線を感じた。
もちろん根源ってか元凶はわかってるんだけど…。



『……なに、総悟』

「イエナンデモ」



なんでもって…すごい形相なんですけど。



『総悟、夢小説のヒーローとは思えないありえない顔してるよ』

「いいんでィ、元が格好良いから」

『うわーナルシとか引くわー』



まあ、格好良いのは否定しないけど。



「ホラ、さっさと寝なせェ」

『さっき破天荒な起こし方したの誰だと思ってんの』



というか若干鼻息が荒いような……。



『……なんで興奮してんの?』

「バカヤロっ…そんなの全然してねーしィ!夏凪が寝たところを襲おうなんて全然考えてねーしィ!」

『魂胆が丸見えなんですが』



寝たところを襲うって…サイテーだぞ。



『はぁ…起きて学校行くか…』

「へェ、夏凪は学校でヤるほうがいいんでェ?」

とりあえず黙ろうか



それしか頭にないのか。



『じゃあ着替えるから出てって…よ』

「嫌でィ」

『頼むから、マジだから』

「どーせ今日の2限目に保健室で脱がすんだから……」

『オイぃぃぃいい!!なに企んでんだァァァァ!』



2時限目の授業だけは意地でも受けてやるゥウ!



『ホラ、出 て け っ!』



ポイッとなんとか総悟を部屋から追い出し、手早く着替えを済ませる。
まったく、このやりとりだけでどれだけ時間ロスしてると思ってんの。



『総悟、あんま時間ないよ』

「じゃあ行くかァ」



顔を洗いながら言うと、総悟は玄関に向かった。



『靴は?』

「あァ夏凪の部屋行くときに持ってきやした」



ひらひらと片手でシューズを揺らす総悟。
どこまで用意周到なんだと思っていると、リビングからひょっこり母が顔を出した。



「あらー総悟くんじゃない」

「どうも」

「毎日夏凪を迎えに来てくれてありがとねぇ」



いや、おもっくそ迎えじゃなくて不法侵入だったよコイツ。



「これからも仲良くしてやってね」

「へい、必ず幸せにします」

ねぇ会話が噛み合ってないんだけど



誰が幸せって言ったんだよ。



「まあ、夏凪を貰ってくれるの?」

「もちろん」

「ちょっと夏凪!あなたの貰い手が見つかったわよ」

勝手に話を進めるなァァア!!



娘の意見を聞かず娘の結婚相手を決める親がどこにいるの。



「心配せずとも夏凪、絶対幸せにしてやらァ」

『うっせーよ』



つーか結婚しないし。



『総悟、もう行くよ。遅れちゃう』

「そーだねィ」

「あら?もう行っちゃうの?」

『うん』

「行ってきやす」

『なんでお前が言うんだよ』



総悟に軽くツッコミを入れて靴を履く。
とんとん、と靴を鳴らして玄関を出た。

外に出ると、ありえないくらい真っ青な空が広がっている。



「いつも一緒に登校ねぇ」

『まぁ』

「なんてったって」





幼馴染みですから










―――――――
何コレ、この変態やりとり
書くの超楽しい←

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