飴玉色の、
▽休日 (1/1)
「おはようございやす」
目を開けると一番に視界に入ったのは総悟だった。
『あれ…私…』
状況がよくわかんなくてキョロキョロ見回す。
うん、いつもの部屋だ。
なんら変わりない。
変わると言えば、今の私の服装がパジャマでないということ。
「覚えてないんですかィ?」
顔を覗き込む総悟。
しばらく考えてみるが、うーん…何も思い出せない。
ていうかその仕草、可愛いからやめてほしい。
きゅん死しそう。
『ゔー………わかんないや』
ごめん、と謝ると、総悟は謝ることねェよ、と優しく言ってくれた。
「まァ覚えてないのも無理ねェよ」
『え……?』
大きな手が私の頭を優しく撫でる。
すごく気持ちいい、なんて思っていると、総悟が昨日の出来事を話しはじめた。
「昨日うみは倒れたんでさァ」
………はい?
『え、いつ?どこで?』
「家に帰った途端、廊下でバタッと」
……言われてみれば記憶にあるようなないような…。
『ていうか、なんで倒れたの…?』
「過労だと思いまさァ、最近疲れてただろィ」
『んー…まぁ…』
確かに疲れてたかもしれない。
けど、そんな倒れるほどじゃなかったと思うんだけどなぁ…。
「ま、今日は一日ゆっくり休んでな」
また、優しく撫でられる。
やはり昨日倒れたからか、今日の総悟は優しい気がする。
『あ、そうだ…会社に電話…』
そう思い立ち上がろうとしたら、総悟に阻止された。
「もう連絡しときやした」
……用意がいいな。
『総悟、大学は?』
授業は午後からなのだろうか。
「いや、今日は休み」
『え…まさか、』
「うみが倒れたから、休んだんでさァ」
やっぱり…!
『ダメだよちゃんと行かなきゃ』
「大丈夫でィ」
『大丈夫じゃないよ、単位もらえないよ?』
なにより私の所為でわざわざ休むのが一番嫌だ。
「こう見えても結構いい成績とってるんだぜィ?」
『でも…っ』
私が言いかけると、ぎゅっと抱きしめられた。
「うみが体調悪いときくらい、一緒に居てやりてーんでさァ」
『…総悟……』
また、頭を撫でられる。
たぶん総悟は私がコレに弱いのを知ってる。
「それに、」
ドサッ、身体を後ろに倒される。
寝かされた、と思ったら、総悟も布団のなかにいた。
つまり、ふたりで布団の中にいる状態。
「たまには、いちゃつきたいしねィ」
『……それはいつもでしょ』
まぁまぁと総悟に宥められ、ゆっくり目を閉じる。
『じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらおうかな…?』
なんだか、いい夢が見られそうな気がする。
『総悟、有難う。おやすみ…』
「…おやすみなせェ」
飴玉色の休日
(ずる休みも捨てたもんじゃない)
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