▽お見送り (1/1)




『あれ?総悟?』

「おはよーございます」



朝起きると、珍しく総悟が起きていた。
確か今日は普通に大学だったハズ…。



『おはよ、今日はどうしたの?』

「あぁ、ちっとレポートの提出期限が近くてねィ、早く行って図書館でやろうかと」



へぇ、意外に真面目なとこもあるのね。



『偉いね総悟』

「そりゃどーも」



この勢いで頭を撫でようかと思ったけど止めた。
子供扱いするな、って怒られると思ったから。
私から見ればまだ子供なんだけどねー…、童顔っていうのもあって本人は結構気にしてるみたい。
別に普通に格好良いのに…、確かに可愛いけどさ。



「じゃ、もうそろそろ出ようかねィ」



総悟は鞄を持って立ち上がった。



『待って、朝ご飯食べた?』



そのまま廊下へ向かっていく総悟を引き止めた。



「いや、さっき起きたからまだです」

『じゃあちょっと待ってて』



キッチンに行き、炊飯器の横においてあったパンを急いでレンジで温めた。



『私が作ってあげられないのが残念だけど、朝ご飯。食堂とかで食べて。最悪、歩きながらでもいいから』

「別に朝抜いても大丈夫でィ」

『ダーメ、頭起きなくて集中出来ないよ?』



ほら、誰だか言ってたじゃない、朝ご飯は一日の大事なエネルギーだって。
池上●だっけ?あ、違う、なんだっけなぁ。



『とにかく、これはちゃんと食べなさいっ』


コンッ



総悟の額に軽くデコピンをした。

総悟はすこしの間目を見開いてびっくりしていたが、やがてニヤリと笑った。
……なんかよくわかんないけどやばいかも。



「どーしても食べて欲しいかィ?」

『う、うん』



耳元にすこしだけ顔を近付けて低い声で言う総悟。

普通に返事したけど内心どきどきしていた。
こーゆーときの総悟は何言いだすかわからないから怖い。



「じゃあキス」

『え?』

「いってらっしゃいのキス、してくだせェ」



………そうきたか。



『…無理』

「やれ」

『……っ』



すこしだけ背伸びをして、唇を総悟のほっぺに触れさせた。
すごく恥ずかしい。



『…っこれで、…いいでしょ…』



俯きながら言うと総悟は私の顔を無理矢理上に向かせ、見つめあった。



「…なんか新婚さんみたいだねィ」

『なに言ってんの…っ』



ただでさえ見つめあうのは恥ずかしいのに、そんなこと言われたら心臓爆発しちゃう。



「でも、」

『っん…!』



急に視界が真っ暗になり、口内に侵入する舌。

息が苦しいのと、口内を犯される感覚でくらくらする。



『…っは……はぁ』

「やっぱさっきのだけじゃ物足りねーや」



総悟はペロッと自分の唇を舐めた。

こんな頭がふわふわしてる状態でも総悟が格好良いと思ってしまう私は完全に末期だ。



「じゃ、いってきやす」



2、3回私の頭をぽんぽんと撫でた総悟はやがて玄関のドアへ向かってドアを開けた。



『…いってらっしゃい』



ホントだ。
なんだか、新婚さんみたい。

それが無性に嬉しかったことは、総悟には内緒。















飴玉色のお見送り


(いってらっしゃいのキスも、)

(やっぱりお約束)







―――――――
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