青空レモンティー

◇たまには熱く [1/2]



◇カラオケ大会当日◇



屯所は賑わっていた。
いや普段から騒がしいところなのだが、今日はすこし違う。

今日は、決戦の日なのだ。







たまには熱く





「ん゙ん゙っ…あ〜あ〜」

『あ、原田さん』

「おお彗ちゃんか」

『おはようございます』


洗濯物が終わり中庭を掃除しようと中庭へ向かうと、原田さんがいた。


『発声の練習ですか?』

「まぁな。お、そうだ、今年は彗ちゃんも出るんだって?」

『はい!』

「頑張れよ、ま、俺の足元にも及ばないだろうがな」

『今に見てて下さい、必ず優勝してみせます』


あたしには、勝たなきゃいけない理由がある。
まぁ何と言っても休暇がもらえるからね。
そして、勝たなきゃいけない理由がもうひとつ……


「よーう彗、オメーも発声しねーのかィ?」

『沖田さんこそ、のど飴の準備は万端ですか?』


沖田さんに日頃の恨みを…じゃねーや…
沖田さんとの勝負に勝つこと!

あ、わからなかったら前の話(15話)を見てね。


「生意気言ってられんのも今のうちだぜィ。まぁせいぜい吠えてろ」

『余裕ぶってられるのも今のうちですよ、後で泣きを見ても知りませんからねー』


バチバチ……
目線がぶつかり合って火花が散らされる。

沖田さんにだけは、
(日頃の恨みも兼ねて)絶対勝ちたい!


『じゃあ原田さん、頑張ってくださいね』

「おぅ…彗ちゃんも沖田隊長となんかすごかったけど頑張れよ」

『有難うございます』


そのまま中庭を去った。
そしたら掃除はどうしたんだと綾城先輩に怒られたので、急いでまた中庭にいって掃除を済ませました。



◇  ◇  ◇





「それでは、第●回カラオケ大会を開催する!」

「「「「うおおおおおおおお!!」」」」


近藤さんの一言で隊士達が雄叫びをあげる。

カラオケ大会、いよいよ開幕です。


「はぁ……」


盛り上がる隊士達とは反対に暗い顔でため息をつく土方さん。


『どうしたんですか?土方さん』

「どーしたもこーしたもねーよ。こんなに隊士集めて、攘夷浪士どもが屯所に乗り込んできたらどうするつもりだってんだ」

『まぁまぁたまにはいいじゃないですか』

「たまにはって、いつもこうだろ」


まあ正論ですよね。
真選組が真面目に仕事してるところなんて、討ち入り以外に見たことないですもん。


『土方さんもうたうんですか?』

「いや俺は毎年審査員だ」

『大変ですねー、まあファイト!』

「他人事だと思いやがって…!そういやお前もうたうんだろ?」

『もちのろんでもちろんですよ!』


なんてったって休暇が懸かってますから!

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