青空レモンティー
◇いざ尋常に勝負 [1/1]
ザッ…ザッ…ザッ…
箒が地面を擦る音が響く。
保科 彗、今日も絶賛仕事中です。
『あっるっこーあっるっこーわたーしはーげーんきー♪』
ザッ…ザッ…ザッ…
『あーるくのーだいーすきーどっんどっんゆーこーおー♪』
ザッ…ザッ…ザッ…
『さっかみちーとんねるーくーさーはーぱっらー…あ、』
「よう彗ちゃん!精が出るなあ!」
『近藤さん!』
中庭を掃除していたら、近藤さんに会いました。
『今見回りからお帰りになられたんですか?お疲れさまです』
「彗ちゃんこそいつも掃除ご苦労!助かってるよ」
『あ、有難うございます!』
近藤さんはいきなりトリップして行く宛てもないあたしを快く引き取ってここで働かせてくれた。 しかも、自分でいうのも何だけど結構可愛がってくれます。
ほんとに真選組(このひとたち)に拾われて良かった、としみじみ思います。
「にしても彗ちゃん!」
『?』
「うたうの上手だな!」
『え?』
うたうのが上手? まあ上手かどうかは置いといてうたうことはすきですけどね。
「さっきト●ロをうたっていただろう」
『はぁ…鼻歌程度ですけど…』
「だったら、」
近藤さんはいかにもひらめいた!という顔をして、笑った。
「カラオケ大会に出てみないか?」
『カラオケ大会?』
カラオケ大会って…フツーにうたうやつ?
「毎年真選組のなかで一番うたが上手い奴を選んで賞品を贈ってるんだ」
『へぇー…』
「ちなみに賞品は…まぁ毎年違うが今年は3日間休暇券を賞品にしようと思っている」
『ま、マジでかァア!』
3日間って結構長いよ!
『え、ホントに休暇くれるんですか!?』
「ああ優勝すれば彗ちゃんにも休暇があるぞ」
『やったあ!』
カラオケ大会優勝してやる! そんで休暇はあたしがもらうぞー!
『あ、近藤さん』
「なんだ?」
『選曲って自分で出来るんですか?』
「いや、あまりマイナーな曲をうたわれると評価出来ないから何曲か課題を出してその中から選んでもらう」
『そーですか…』
うたいたい曲があったけどなあ…。
「まあメジャーなうたなら構わんよ」
『ホントですかっ?』
やっぱうたいたい曲がうたえるっていいよね! 俄然ヤル気が出てきたっ!
『よーし優勝とるぞー!』
「無理でィ」
『え…?』
どこからか声がしたと思い振り向くと木にもたれかかってる沖田さんがいた。 いつになく余裕そう…。
「おぉ前年度優勝者!」
『え!?』
前年度、優勝者…ってまさか!
「総悟は去年のカラオケ大会の優勝者だ」
『えぇぇぇ!?沖田さんが!?』
明らかにうたわなさそうなキャラにしか見えないんですけど…! ていうかうたが上手いのは沖田さんじゃないでしょ!鈴村さんでしょ!あ、言っちゃった。
「彗、優勝するって言ったなァ」
沖田さんはあたしに近づいて目線を合わせた。 近距離だからいつもより見下された感じ…なんかムカつくな。
『休暇はあたしが獲ります!』
負けてたまるかっ!と言わんばかりにあたしも沖田さんを睨み付けます。
「お前は俺に勝てねェ、諦めな」
『勝ちます!』
バチバチと火花が散る感覚。 だいたいいつもサボってる沖田さんに休暇があるなんて絶対おかしい。
「カラオケ大会は2日後だ」
『…………』
「明後日、楽しみにしてるぜィ」
『望むところよ!』
かくして沖田さんとあたしの戦いが始まったのであった――。
いざ尋常に勝負!
(てかあたしたちキャラ違くね?) (大丈夫でィしばらく更新してないから誰も気づかねーよ) (こらァァァァアア!!)
――――――― ……………。 鈴村さんってハンパなく格好良いよね!
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