青空レモンティー
◇陽のあたる午後 [1/1]
『はぁーきもちー…』
庭に面している廊下にぐてーっと寝転がる。
今日は仕事が休みなので、だらだらして過ごす予定です。
それにしても陽がぽかぽかしててかなり気持ちいい。 このまま寝ちゃいそうなくらい。
『お昼寝さいこぉ…』
目を閉じて、今まさに夢の世界に羽ばたこうとしていたとき。
ドゴォォオン――
「てめっ総悟ォォォ!!」
……ああ、また沖田さんと土方さんが喧嘩し出したよ…。 まぁ、大方沖田さんから仕掛けたんだろうけど…。
せっかくお昼寝しょうと思ってたのに、もううるさくて寝れないや。
よっこらせ、と立ち上がり、自分の部屋に入る。 ため息をついて、お茶をいれようとした時だった。
ッバン!
「保科」
勢いよく襖が開き、入り口に立っていたのはボロボロになっている土方さん。 あらら、沖田さんにやられたのね、可哀相に。
『どうしたんですか、土方さん。あと大丈夫ですか、土方さん』
「……………あぁ」
あ、間があったぞ今。 全然大丈夫じゃないじゃないですか。
「それより保科」
『はい』
「お前、救急箱持ってるか?」
『ありますけど』
「貸してくれねぇか?」
…怪我の手当てか。
『あの、』
「ん?」
『あたしにやらせてくれませんか?』
「はぁ!?」
土方さんは素っ頓狂な声を上げた。 良心で言ってるんですから、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか。
「何言ってんだ、そんくらい自分で出来るわ!」
『いやそーゆー意味じゃなくて!』
ていうか、なんでそんな焦ってるんですか。
『この前左腕の手当てをして下さったお礼、です』
「………あぁ、あれか」
『そうあれです』
わからない方は05話を見て下さい。
「いや、でも…」
土方さんは迷ってるっぽいです。 ちょっとイライラしてきた……。
『あーもう!座ってください』
入り口で燻っている土方さんの腕を引っ張り無理矢理部屋に入れる。 ちょっと強引だけど、土方さんみないな真面目なひとは自ら甘えないだろうし、大丈夫だと思う。
『ちょっとくらい甘えたっていいんですよ』
救急箱を取り出して、傷口に消毒液を染み込ませたティッシュを当てる。
最初こそ抵抗があった土方さんだが、今は大人しく座っている。
「…すまねぇな」
『だから、いいですってば。この前のお礼ですよ』
「………、サンキュー」
すこし照れ臭そうに土方さんは笑った。
うん、すんごく格好良い。テライケメン。
『よし、出来たっ』
最後のガーゼを貼りおわって、手当て完了!
「本当にありがとな」
『いーえっ』
そう言って土方さんは立ち上がり、襖の方に向かっていく。
『土方さん』
「?」
『また怪我したら、来てくださいね』
いつでも手当てしますから、と付け足す。
「……おぅ」
土方さんはそう言い残し、部屋から出ていった。
うん、なんだか土方さんと仲良くなれた気がする。 そう思いながら時計を見ると、13時を差していた。
午後はまだまだ長い。 これから、なにをしようか。
『………陽なたぼっこしよう』
自室の障子を開け、陽のあたる廊下に出た。
陽のあたる午後
(あーきもちいい…)
ドゴォォオン!
(……………またか) (…すまねぇ保科) (いえいえ)
これの繰り返し
――――――― 土方さんとヒロインが仲良くしてるのを見てちょっとイラついた沖田さん
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