青空レモンティー

◇夕焼け色の [1/2]



「…オイ、」

『…………』

「オイ、彗」

『…ハイ何でしょうか』

「ちょいと止まれィ」


沖田さんに言われて足を止めると、何やら大変な事が起きたご様子の沖田さん。


「お前どこに向かって歩いてんだ?」

『…………、宛てもなく、風の吹くままに

「何ちょっと格好付けてんだ、全然格好良くねェよ。つーか向かい風だし

『ホントだ。で、何ですか?』

「これから俺が江戸案内すんのかィ?」

『ええ、そーですよ』

「このマヨしか入ってねェ重い袋を持ち歩きながら?そんなの御免でィ」

『あたしもまっぴら御免被ります』

「……………、先に江戸案内してから買い物するべきだったか」

『そーですね、今更ですが』

「…今更って、気付いてたのか?」

『まぁ』

ならさっさと言えバカ

『めんどくさいじゃないですかー』

「袋持って歩くほうが百倍めんどくせぇよ」


…じゃあどうするんですか、と尋ねると、


「ついて来い」


なにやらいい策があるようです。









夕焼け色の





沖田さんに連れられて着いた場所はどこかの休憩所みたいなところ。
ベンチやら自販機やらが沢山揃ってます。


『…コインロッカー』

「まぁ屯所に帰るのも面倒だろィ」


休憩所に並んでるコインロッカーに沖田さんは荷物を入れ、鍵をとった。


『あれ?お金は?』

「は?金?」

『お金、入れないと鍵が…』

「なんで金かけなきゃいけないんでィ」


……そっか、昔はコインを入れたら自動的に鍵がかかるなんてそんな高度な技術まだないのか…


「彗、適当に暗証番号入れろ」


……あるじゃん。
しかも全ロッカー暗証番号式。


『……なんか、つくづくあたしの元いた世界って面倒だなって思いました』

「コインロッカーに金かけんのかィ」

『ええ、ケチな世界なもんで』

「そりゃご苦労なこった」


沖田は鍵をくるくる指で回転させてから隊服のポケットに入れた。


『…なんか、ディ●ニーランドでハニーハ●ト乗り終わってすぐあるお店でお土産大量に買っちゃってすごく遠い入り口付近にあるコインロッカーに荷物置きに行くハメになったカップルみたいですね』

「例えが長ェよ。てかお前とカップルとか吐き気がするぜィ」

『あれ嫌ですよねー、プー●ん可愛くてグッズいっぱい買っちゃて、マップ見たら入り口辺りにしかコインロッカーありませんもん。しかもハ●ーハントって入り口から一番遠いし』

「なんでそんなランドに詳しいんだよ、マニアか」

『いやー修学旅行のいい思い出です』

「バカだろ、お前バカだろ」

『そのバカの彼氏役ですよ、沖田さんは』

オイ、いつから彼氏役になった

『じょーだんですよ』

「……ほどほどにしろィ」


クスリと笑いながら言ったら、沖田さんに2回…いや3回頭を小突かれました。

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