青空レモンティー

◇ゆびきり [2/2]



「おせェ、5秒経ってんぞ」

『今降りますっ』


階段を2、3段降りて手摺りに飛び乗る。
そのまま手摺りから沖田さんがいる地面にジャンプした。


『……っと…』


見事着地。あたしカッコイイ!
……と思ったが。


『わわっ』

「危ねェ…っ」


着地したのはいいが、沖田さんの方へよろけてしまった。
その勢いで沖田さんに突進してしまう。


『ぅ、わ…っ!』

「てめェ…」

『あああごめんなさいィィィ!』


沖田さんに支えてもらい、なんとか倒れずに済んだ…のはいいんだけど、どうやら怒りを買ってしまったらしい。


「こんど何か奢れィ、クソバカメス豚」

『ちょ、名前なんか悪化してない!?』


罵声に耐えながら、歩きだした沖田さんの隣まで小走りでついていった。


『あ、でも別にいいかも』

「ついにMに目覚めたか」

『いやそーゆーのじゃなくて!』

「違うのかィ、残念」

残念ってなんだオイこら


そんなにMがすきか!
だったらSMクラブに行って綺麗なねーちゃん達とラブラブしてろよバカヤロー!


「誰がバカヤローでィ」

『だから何のエスパー?』

「思いっきし口に出してただろーが」

『マジでか』


次から気をつけます。

ていうかそろそろ本題に入ります。


『だから、要するに奢るってことはまた沖田さんと出かけられるってことじゃないですか』

「……アホ」

『今アホって言われる要素ありました!?』


反論すると、沖田さんは「るせェ」と言って頭を小突いてきました。

地味に痛くて後から痛みが広がる感じ。
出会った日と変わらない。

それが何故か嬉しくて、クスクスと笑っていたら、やっぱMだと罵られました。
もう慣れっこです、慣れって怖い。


『今日の夕飯何でしたか?』

「ハンバーグ」

『えぇいいなあー!』


しまった、ハンバーグの日だったかァ…、ちょっと残念。

そう思いながらふと空を見上げると、だいぶ丸くなった上弦の月が輝いていた。


『……沖田さん』

「なんでェ」

『有難うございます』

「は?」


いきなりのお礼に珍しく驚いたのか沖田さんは普段出さないような声を上げた。


「ついに頭沸いたか?」

『違います!歩きで来てくれて有難うございますってこと』

「それがどうした」

『あたしが前に散歩がすきって言ったの、まあ沖田さんが覚えてたかどうかはわからないけど、でも夜の散歩は特にすきなので嬉しいんです。だから有難うございます』

「……そんなんじゃねーよ」

『でもいいじゃないですかお礼くらい、迎えに来てくれたことも兼ねて』

「あれは近藤さんが一応女だから迎えに行けって」

『はいはい、それでもあたしは嬉しいかったからいいんです!』


ニカッと笑うと、沖田さんに黙れと言われ頭をぐりぐりされた。
今の撫でられたのか、ただの暴力なのかわかんないや。


「ホント変な女」

『よく言われます』

「だろうな」

『オイどーゆー意味だ』

「そーゆー意味だ」

『そーゆー意味か……なんか違くね?』


こんな感じで本当にくだらないことを話していたら、もう屯所が見えてきた。


『もう着いちゃいますね…』

「あァ」

『散歩楽しかったのに……』

「あっそ」

『そーいえば全然人がいなかったですね』


思い返すと、誰もいなかったような気がする。
夜は誰もいない静かな道を歩くのがすきだから別にいいけどね。


『屯所に着いちゃう…』

「それ二回目だぞ」

『だって淋しいじゃないですか』


よく迷子になるから昼間でもあんまり町に行けないし。
ましてや夜なんて…沖田さんと土方さんはともかく近藤さんが危ないって止めそう、てか実際そう言ってたらしいしね。


『そだ!また散歩いきましょーよ!』

「嫌でィ、めんどくせェ」

『えーいいじゃないですかー』

「とりあえず、今度なんか奢れよ」

『その代わり、町に連れてってくださいねー』


屯所の前に着いて、指切りをしました。
そういえば、万事屋の皆とも約束したなあ。

楽しみが増えた、そう思うとどうしようなく嬉しくなった。

























ゆびきりげんまん


(ゆーびきーりげーんまーん♪うーそつーいたーら……)
(鼻から青汁飲ませてやらァ)
(…………青汁流行ってんの?)


ひとつひとつ増えていく約束と、

暖かい小指







―――――――
青汁しか思いつかなかった……

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