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ずっと一緒にいられると思ってた。

居なくなるなんて、考えもしなかった。

自分の腕の中で冷たくなっていくザックスの身体を抱きしめながら、願った。

これは夢だ。悪い夢…

また朝起きるとザックスが「クラウド、おはよっ」って笑っていうんだ。

――――……………………………………。

俺のせい?俺が、逃げようなんて言ったから……








夢ノ最果テ








「おっさん、ありがとな!」

トラックの荷台から降りて、ここまで乗せてくれたトラックの運転手に挨拶をする。

「おう、元気でな。」

「おっさんもな!」

返された言葉に軽く手を挙げて見送ると、ザックスはクラウドと共に丘へ向かって歩き出した。

















「ここを越えたらミッドガルだ。あと少しだぞ、クラウド。がんばろうな」

魔晄による中毒症状か宝条の手による実験のせい……いや両方か。
朧気な表情で反応の少ない今のクラウドに、一体どれほど理解できているのかはわからないが、それでもザックスはここまでの道中、たびたび話しかけていた。


「う…あ…ぁあ」


ザックスの方を見ないまま、言葉にならない小さな声をあげるクラウドの頭をポンポンとなでてまた歩き出す。



「お、ここなら良さそうだな。」


まともに歩くことも出来ないクラウドを、肩を貸す形で担ぎながら足場の悪い砂利道を歩き続けて、どの辺りまで来ただろうか。
確実に追っ手が来ていることを考えるとゆっくりはしていられない。が、辺りは既に真っ暗だ。
ようやく体を休められそうな場所を見つけ、そこへ足を進めた。


「とりあえず今日はここで寝るか。」


その場所はちょっとした洞窟のようなものだった。

そこで一晩過ごすことにした。
本当は、もう少し月明かりが出ていれば、少しでも暗いうちに進んでおきたかったのだが、足場の悪い砂利道をクラウドを担ぎながら、でこの暗さは危うい。
それにクラウドの手前表には出さないが、しばらくトラックに乗せて貰っていたとはいえ、それまでの道程とこの場所までの疲労で、ザックス本人も自覚するほどに消耗していた。



ザックスは辺りに落ちていた木の枝を拾い集め、焚き火をつくると、道中トラックの運転手がくれた食料を2人で分けて食べ、空腹を満たした。




「そうだクラウド、さっきトラックでも言ったけどよ、ミッドガルについたら一緒になんでも屋やらないか?」

……パチ、パチ……と焚き火から聞こえる木の弾ける乾いた音が響く中、その静寂を破るようにザックスが口を開いた。

「報酬次第で危険なことも、人助けだってなんでもやるんだ。あ、でも犯罪はお断りな!2人ならきっと楽しいぜ!」


焚き火の炎を見つめ続けるクラウドに、ザックスは話しかける。正直、この状態からなかなか回復する兆しの見えないクラウドに不安になることもある。
けれど、あの地獄みたいな状況で、それでもクラウドは諦めずに逃げようと、逃げたいと、そう言ってくれた。

それは、ザックスにとって救いに、そして力になった。
クラウドがああ言ってくれたから、頼ってくれたから、どんな状況だって踏んばれる。


「な、わかるか?クラウド……オレはお前をひとりにしないから。放り出したりしない。ずっと一緒に生きような。」

「あ……うあ…あぁ…」


まるでザックスのその言葉に応えるように。
炎を見つめたままの瞳から零れた涙に、声に、きっと伝わっている。そう思う。
ポンとクラウドの頭に手を乗せて、ザックスは微笑った。



「よし!そろそろ寝るか。明日も大変だしなぁ。」


少ししんみりとした空気を変えるように、わざと明るく言って、その場に寝転んだ。と、同時に一気に襲ってきた眠気に身を任せる。今は少しでも体力を回復させたい。


「クラウドももう寝ようぜ〜。オレねみぃ……クラウドおやすみー」


そのまま、ザックスはすぐに眠ってしまった。

クラウドはザックスが横で寝息をたて始めても尚、座ったまま魅入られるように、相変わらず焚き火の炎を見つめていた。
その朧気な瞳の奥には、恐怖のような懐かしさのような、なにか複雑な色が浮かんでいた。



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小説処女作。
トラックのシーンを省いてしまったので、例の会話を洞窟内で。(いきなり変更)

2000.11.17初稿
2014.12.24大幅加筆修正


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