1週目/下僕ルート/BAD ED 3
本棚を組み立てたはずが女の子ができあがった。
「いや、意味わからん」
組み立てていたのは何の変哲もないホームセンターで買ったスライド式本棚だったはずだ。
「取り敢えず…」
1 話しかけてみる
2 不気味だし無視で
3 カーチャンを呼ぶ
>>話しかけてみる
話し掛けてみることにした。
俺「おーい。起きろー」
女の子「…う…ん……」
ふるり、と長い睫毛が揺れて瞳が開いた。
黒曜石のような瞳だった。
黒い本棚だったからか、女の子は黒い瞳に黒い髪だった。
女の子「ここ、は…」
1 お前がこれから住む家だよ
2 お前が俺の下僕となる家だよ
3 やべぇ喋った。カーチャン!
>>お前が俺の下僕となる家だよ
お前が俺の下僕となる家だよ。
そう言うと女の子は子首を傾げた後、こくりと頷いた。
女の子「何を致しましょう?」
1 俺の部屋を片付けろ
2 ベッドに座れ
3 カーチャンに聞く
>>ベッドに座れ
ベッドに座れ。
そう言うと大人しくベッドに座った。
女の子が俺を見上げる。ロリコンの趣味は無いが、正直かわいいと思った。
俺「さて…」
1 頭を撫でる
2 頬を触る
3 放置
>>頭をなでる
俺は女の子の頭を無言で撫でた。
何も言わない俺を不安そうに見上げてくる。
俺「いいか?お前は俺の下僕だ。俺の言うことを聞けるな?」
女の子「……はい」
俺「なら、お前は今日からこの家の子だ。楽しく過ごすこと!」
女の子「えっ……?」
俺は我慢がきかずに口角を上げてしまった。
女の子が子首を傾げる。
女の子「わたし、ここにいて良いの?」
俺「何がどうなって女の子になったのかはわからないが、本棚を買ったのは俺だ。所有者の俺が良いって行ってるんだから良いんだよ」
もう一度くしゃりと頭を撫でてやると、女の子はふふっと笑った。
俺「下僕だからな。部屋も一緒だし、色々な所にも行くぞ?」
女の子「はいっ!お供致します」
ドタドタドタ。
廊下から誰かが部屋に向かってくる音がする。
俺「誰だ…?」
1 カーチャン
2 気のせい
現実の俺「くそっ。一定の時間が経つと勝手に進むシステムかよ……」
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>>カーチャン
この足音は聞き慣れている音だ。俺はこめかみを押さえる。
?「俺ちゃぁんっ!」
ぎゅむうっ。
勢い良く扉が開いたかと思うと、体が柔らかいものに締め付けられた。
俺「っ、苦しいって。離してくれよ」
ぴちぴちの肌にくりくりとした大きな瞳。
軽いウェーブがかかった淡い栗色の髪。
豊満な胸にくびれたウエスト、桃のような美尻。
見た目20代のこの女の人は、確かに――。
俺「離してくれよカーチャン…」
俺の母親だった。
母「んもぅ!かーちゃんじゃないでしょう?お母さまか、美琴(ミコト)ちゃん!」
ぷぅっ。と頬を膨らませているのは確かに俺を産んだ母親だった。
見た目だけなら20代だが、実年齢は……。
美琴「あらやだ。俺ちゃん、このかわいい子どうしたの?」
女の子「えっと…」
俺「本棚」
そう言うとカーチャンは頬に片手を添えながらまじまじと女の子を見た。
美琴「あらあら珍しい本棚ねぇ」
俺「そう言うわけだからよろしく」
美琴「なんだか娘ができたみたいで嬉しいわぁ。ねぇ、お名前は?」
名前。そう言えば、名前無かったな。まぁ本棚だっし。
女の子がじっと見てくる。名前か……そうだな。
俺「タナ子」
美琴「変わったお名前ねぇ」
確かに、あみにゃんとかほゆほゆとかみたいに可愛い名前ではない。
本棚から取ったんだが……嫌、だったか?
タナ子「…………」
女の子――タナ子は白い頬を桃色に染めて照れ臭そうに笑っていた。
良かった。俺は小さく息を吐きだす。
そんなこんなで本棚を組み立てたはずが女の子ができあがっていたわけだが、タナ子は無事に我が家の一員となった。
〜一冊目終了〜