16週目/スキップ/BAD ED15


16週目/スキップ/三階の南から三つ目の部屋に行く 選択

>>三階の南から三つ目の部屋に行く

このまま脱出する事もできるが、ちょっと気になる事もあるのでもう少し屋敷の中を探る事にした。

俺(わかってますよ、鞠華さん)

闇ルートで違法物の取り引き。屋敷に侵入する前にそう伝えてきた鞠華さんの意図。
お気を付けくださいね。そう言った鞠華さんの瞳は、俺を信頼している瞳。何かを頼む時の、瞳。最早言わずともわかる。

俺(この部屋は……)

厳重に電子ロックがかかっていた。コントロールパネルには、零から十までの数字とアルファベットが表示されている。

俺「鞠華さん」

耳からキーを叩く音が聞こえる。早いけれど、乱暴ではなく気品のある音。

鞠華『出ましたわ〜。九、六、零、S、S、六、零、S、E』
俺「ありがとうございます」

鞠華さんの言った通りに打ち込むと、ピッ。と言う電子音がした。
ガチャン。鍵が開く、重い音。慎重に扉を開けて部屋に入り込む。

俺「なっ……」

一面、白かった。壁紙が白いとかそう言う話ではない。白いモノが、部屋に所狭しと置かれている。
小袋に入っているモノもあれば、瓶に詰められているものもある。よく見れば、色が付いているモノもあった。

俺「これは、あれか」

1 小袋を手に取る
2 鞠華さんのお目当てのブツだな

>>鞠華さんのお目当てのブツだな

俺「白い悪魔」

小袋に入っている粉末タイプのモノと錠剤タイプのモノを一袋ずつ回収する。ちゃんと検査しない事には確定できないが、おそらく合っているだろう。

俺「確かに、白い悪魔なら違法モノだな」
警備「ん?ロックが外れている。あいつもたまには用意がいいな」
俺「――!」

まずい。一先ず袋を懐のポケットにしまい、部屋を見回す。この部屋にも脱出口へ通じる道があるはずだ。探せ。探せ、脱出口を。

警備「っ、おい、暴れるな!すぐにお前の好きなモンをやるから。ったく」
俺(見付けた!)

棚を蹴り上がり、天井の一角に手を這わす。現れた入り口に入り込み、身を隠す。
扉が開いて、閉まる音がした。

?「ううっ……早く、早く」
警備「ここまでクルと最早人じゃねぇな。ホント、主人も人がワリィ」

懐に手を忍ばせる。これは、黒だ。

俺(本当に、白い悪魔かよ……)

一先ずここは撤退だな。ここまでの量を所有しているとなると、どんな力が働いているかわからない。

1 このまま脱出だ!

>>このまま脱出だ!

本来の目的と、鞠華さんの目的。そしてタナ子の言っていた人物も見れた事だし、ここに用は無い。目的は達成した。脱出しよう。
脱出口を通り、来た道を戻る。

俺「……おかしい」

同じような景色が続く。いや、当たり前と言えば当たり前なのだが、違和感を覚える。

俺「さっきから同じ所を歩いている気がするな」

思わずそう呟く。と、通信機から声がした。

鞠華『俺くん、やはりそうですの?』
俺「ああ、やっぱり俺の位置変わりませんか?」
鞠華『ええ。ずっと同じルートを辿っていますわ〜』

もうちょっと早く言ってほしかったかな。かれこれ十分位は歩いていた。

タナ子『追っ手対策用の通路に入ってしまったのだと思います』
俺「って事は、トラップがあるな?」
タナ子『はい。わたしも幾つか確認済みです』

迂闊に進むと厄介だな。取りあえず壁伝いに歩くか。

俺「ん?」

ガコッ。壁がへこみ、バランスを崩した俺はそのまま倒れ込んだ。どうやら違う通路に行けたようだ。
俺の目の前には入り口が三つあった。

鞠華『右の道から出られるみたいですわ〜。左の道は水攻めのトラップですの』
タナ子『左の道から出られます。右の道は槍が出てきて危ないです』

おいおいどういう事だよ。
二人の話を聞くと、どっちもトラップがあるじゃないか。

俺(しかしまぁ、こう言う時こそ俺の出番、か?)

考えろ、俺!

1 わっかんねーよ!

>>わっかんねーよ!

いや、落ち着け俺。頭脳派の俺、落ち着け。

俺「右と左が駄目なら、真ん中、か?」

しかし、二人とも真ん中の道には触れていない。そうなると、真ん中は駄目と言う事なんじゃないだろうか。

俺「しょうがないな」

頭脳派として、運まかせとかは否定したいのだが、ここはしょうがない。

俺「どーれーにーしーよーうーかーなー」

神様の言う通り。指が指したのは真ん中の道だった。
進む前に右と左の道に小石を投げ込む。何も反応しない。

俺「っと。試しに……」

柚葉お手製のメカ球を投げ込む。と、左右の道の入り口が石壁に塞がれた。次いで、ザァアァァー!!と言う水音と、ザシュッ!!と、何かが刺さる音。

俺「鞠華さんとタナ子の言った通りだったな」

柚葉お手製の生体反応を擬似感知させるメカ球。こいつにトラップが反応した。俺が進んでいたら、ただでは済まなかったかもしれない。
一つ深呼吸をしてから真ん中の道を進む。特に何も起こらない。と、思っていた。

俺「うっそおぉっ!?」

迫り来る水と槍の群れ。頭脳派の俺だが、思わず生き残れるよう運に身を任せるしかなかった。


月が雲に覆われ、暗闇が濃くなる。ざぁざぁと吹く風は気持ち悪い位に柚葉と優都の頬を撫でた。

柚葉「ユウちゃん、心配?」
優都「ぜーんぜんっ。ゆずちゃんは?」
柚葉「あたしも。心配する必要なんて無い」

けれど、二人は違ったみたいで。お互いのバックアップが見えないようにと、別の場所に行っていたタナ子と鞠華が血相を変えて走ってきた。

タナ子「通信が途絶えました!」
鞠華「俺くんの反応が無いんですの!」

同時に言う二人が面白くて笑いそうになるが、柚葉と優都は堪える。きっと二人の心境はごちゃごちゃしているだろう。

タナ子「左の道と言ったのですが」
鞠華「右の道と言いましたのに」
タナ子・鞠華「えっ……?」

タナ子と鞠華が顔を見合わせる。

タナ子「そんな、右の道は槍が……」
鞠華「左の道は水攻めですわ……」
優都「二人の情報がおかしいわけねん?」
柚葉「そうなると、俺は運任せにしないといけないわけだね」

柚葉と優都が笑う。

柚葉「なら、大丈夫だよ」
タナ子「どうしてそんなことがっ」
優都「二人は、俺きゅんの本当の能力。知らないんだもんねぇ?」
鞠華「……頭脳派、だと」
柚葉「違うよ。俺は、強運を超える」

柚葉と優都が月明かりに照らされる。

柚葉・優都「天運の持ち主」

雲が晴れて月明かりが伸びる。伸びた先には、俺がターゲットの日本刀を持って立っていた。

俺「依頼完了。勝負は……今回も引き分けだな」

俺が困ったように笑う。

タナ子「……っ」
鞠華「俺くん……」
柚葉「ほら、ね。お疲れ、俺」
優都「クエスト完了だねっ!」
俺「ああ。って、えっ?タナ子っ?鞠華さんっ!?」

ぎゅうっ。と、タナ子と鞠華が俺に抱き付いた。

俺「って!どさくさに紛れてお前まで抱き付くな優都!」
柚葉「もてる男は辛いねぇ」
俺「柚葉、助けろ!」
柚葉「やだよー、っだ」

依頼完了。
タナ子と鞠華の勝敗は結局引き分けとなった。

〜二冊目終了〜



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