11週目/婚約者・美琴ルートまでスキップ/イザナミ ED 4
〜二冊目〜
夢か、現実か。
俺と、カーチャンと、女の子。女の子の顔は、もうよくわからない。
俺が言う。
俺『俺はできれば今まで通りに過ごしたいなぁ、みたいな』
馬鹿だ俺。こんな事が起こって今まで通りになんて行くわけないだろ。
美琴『そうね。そうよね。それが良いわ』
カーチャンが哀しそうな顔をする。どうして、なんてあの時は思ったけど。
そうだよ。カーチャンはお爺ちゃんの国のお姫さまだ。だから、その息子の俺が国を継ぐ権利がある。
俺(カーチャンのせいじゃねぇよ……)
カーチャンは自分のせいだと、思ったのか。
確かにカーチャンの産まれが関わってはいるが、カーチャンが望んだことじゃないだろうが。
女の子『マスター、失礼』
女の子が動く。何を、なんて思う前に背後に回られて。
俺「……夢、か」
時計を見れば深夜2時26分。
今のは確かに夢だ。
でも、あの出来事が夢だとは俺に断定する事はできない。否、今はする気もない。
ドンガラガッシャーン!
深夜だと言うのにリビングの方から物音が鳴り響いた。
俺「おいおい夜中だぞ?」
1 怖いけど行くか
2 俺は何も聞いていない
3 寝る寝る
>>怖いけど行くか
こんな夜中に起きているやつなんて俺か優都しかいない。が、優都は今家にいないし俺も寝ていた。そうなると必然的に第三者の登場となってしまう。
強盗、ならまだ良い。凶悪殺人犯とかだったらどうしよう。いや、実際そうだったらどうしようなんてレベルの話じゃないが。
そろり。成るべく物音を発てないようにしてリビングへ向かう。
リビングの電気は点いている。扉を、開けた。
俺「……あれ?」
美琴「あら?」
そこに居たのは、なぜか未だにエプロン姿のカーチャンだった。
ある意味第三者と言えば第三者だが。
俺「何、してんの」
美琴「あらあら、起こしちゃったかしら?」
なんとカーチャンはダイエットをしていたらしい。痩せる必要なんか無いだろうに、本人はお腹周りが気になる。とのこと。
そして少々激しく動き過ぎて食器棚にぶつかってしまったらしい。
美琴「ごめんなさいね。気を付けるわ」
カーチャンは片手を頬にあてて申し訳なさそうに謝った。
俺「いや、カーチャン痩せる必要無いだろう、に」
そこまで言って俺はリビングに違和感を覚える。
リビングで動いて、カーチャンの事だから体勢を崩してキッチンに傾れ込んで食器棚にぶつかった。と言うのはわからなくも無い。
でも、だとしてもテーブルが引っ繰り返ってるのはおかしく無いだろうか。
俺「……カーチャン」
美琴「やっ、いたぁい!」
俺「えっ?ちょ、何やってんだよ!」
事もあろうに、カーチャンは割れた食器を片付けようと素手で拾い集めていた。
1 ああもう馬鹿っ!俺がやるから!
2 カーチャン……
3 コトン
>>コトン
背後から物音がして振り返ってみれば、引っ繰り返っていたはずのテーブルが元に戻っていた。ここには、俺とカーチャンしかいないはず。
おかしい。ありえない。
これは第三者の存在をほのめかしてはいないだろうか。
そこまで広くは無いリビング。ざっと見回してみても、やはり人影は無い。
美琴「俺ちゃん?」
俺「あ……って!カーチャン血だらけじゃないかっ」
じわじわ。カーチャンの指先が赤に染まっていた。
俺は簡単に手当てを済ませて再びリビングを見渡す。カーチャンは自分の部屋へ戻ったから、ここには俺一人のはずだ。
カキン。
日中に聞こえた音がした。外。それもすぐ、庭の方から。
俺「行ってみるか」
深夜の庭は日中とは違ってぽっかりと穴が開いているかのように真っ暗だ。
音はするが何も見えない。せめて厚い雲に覆われている月が出てくれれば少しは見えるかもしれないのに。
諦めかけたその時、一瞬。
俺「あっ」
月の光が射し込み辺りを映し出した。
そこにはもう何度か見かけた黒い影。
それだけは確認できたが、また月が隠れてしまい辺りは再び闇に包まれた。もう少し。あと一息だったが、俺は為す術もなく部屋へと戻った。
そして翌日。
俺「今日は……」
1 リビングに行く
2 図書館に行く
3 ぶらぶらする