2週目/柚葉通常ルート/タナ子 ED 4


〜二冊目〜

朝日が部屋に入り込んで来たようで、意識が段々と覚醒して行く。

俺「あー……ねみぃ」

ぐっ。と体を伸ばして体の覚醒を促す。あふ、と情けない音の欠伸が出た。
幾分頭がスッキリしてきた所で今日の予定を考える。

1 商店街に行く
2 部屋でのんびりする
3 PCの電源を入れる

>>PCの電源を入れる

俺はPCを立ち上げて適当にネットサーフィンを始めた。
タタン。カチカチ。
何かおもしろい記事は無いか、と探していると、何だか気になる記事を見つけた。

俺「ニュクスドールのまじない?」

ひやり。部屋の空気が冷たくなったような気がした。

1 続きを読む
2 いや、止めておこう

>>続きを読む

俺は胡散臭いな、と思いながらもクリックした。

俺「えーっと……」

ニュクスドールとは。
人形師ニュクスが創りだした二体の人形のことである。
ニュクスは自分のその名に因み、タナトスとヒュプノスと名付けた。
その二体のドールに優しさを持って接すれば、その優しさに応えて幸福をもたらすと言われている。
しかし、優しさが無ければその名の通り死と眠りが与えられるだろう。

俺「……まさかな」

ちら、と部屋の隅に追いやった女の子を見た。いや、あれは本棚だ。本棚。

女の子「……ふわ」

最近の本棚は欠伸くらいするよな。うん。

俺「……は?」

ぱちり。女の子の瞳が開かれた。
深く暗い闇の色。

女の子「時間切れ、です」

ザッ。風が頬を撫でた。
殺気を纏った女の子は、確実に俺に死を与えようとしている。
まさか、本当にあのドール――タナトス、なのか?

俺「いや、因んでいるのならタナトスは男の筈だ。つまりお前は、タナ子だなっ!?」
女の子「えっ!?」

びくぅ。女の子の体が止まった。

俺「えっ、なに正解?」
タナ子「う……お名前、付けられたら、使えてもらうしか、ない、です」
部屋から溢れんばかりに広がっていた殺気が次第に消えていく。
どうやら、俺の死は免れたようだった。

タナ子「……以上、です」

それからタナ子に色々と話を聞いてみた。
タナ子は女の子だか、名前は本当にタナトスらしい。
俺は幸福を得るニュクスドールのまじないをしなかった為、死が訪れる筈だった。が、タナトスをタナ子と名付けた事により人形使(ニンギョウシ)となり、タナ子に使えることで死を免れた、とのことだった。

俺「どこのファンタジーだよ、まったく……」
タナ子「早く遊んでくださいです!」
俺「ああ、はいはい」

一命を取り留めたが差し詰め俺は、もう今まで通りの生活は遅れそうに無かった。

Thanako END
―ED4 人形の人形―


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「見えない臓器の名前は」
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