10週目/婚約者・美琴ルートまでスキップ/優都 ED 16
10週目/婚約者・美琴ルートまでスキップ
>>どこで見たんだ……?
最近見たような気がするのに思い出せない。どこで見たのか。
俺が見ている事に気が付いたのか、子供はフードを目深に被り直すと屋根伝いに飛び走って行く。
俺「待っ!」
俺も慌てて走り出すが、スピードが違い過ぎた。まるで、人では無い。
幾らか走ったものの、子供の姿は見えなくなってしまった。
けれど、一つ確信する。
これは夢では無い。そして、日常は非日常へと確かに変わっている、と。
ならば、俺が夢だと思っていたあの出来事は夢では無いんじゃないだろうか。
真偽を見定める為にも俺は家へと走り帰った。
俺「カーチャン」
夕飯もお風呂も済ませ、普段なら部屋でまったりしている時間だ。だが、俺は部屋でまったりなんてできず、リビングに居るカーチャンに話し掛けた。
美琴「なぁに?俺ちゃん」
微笑むカーチャンに、俺は出かかった言葉を飲み込む。でも、それじゃあ駄目だ。今、言わないと。
俺「話を、聞いてほしいんだ」
俺の、夢の話を。
夢の話だなんて、馬鹿げている。でも、カーチャンは馬鹿にするわけでも、笑うわけでも無く俺の話を真剣に聞いてくれた。
俺の話が終わっても、カーチャンは真剣な表情を崩さない。
美琴「俺ちゃんは、何を望んでいるの?」
俺「俺……?」
夢の中で、平穏な日常を願った。
けれど。
現実では、非日常を追いかけた。
1 俺は、平穏に過ごしたい
2 俺は、真実を知りたい
>>俺は、真実を知りたい
あれは夢だったのか。
夢じゃなかったのか。
俺「知りたいんだ」
真っ直ぐカーチャンを見ると、困ったように眉を寄せてから溜め息を吐いた。
美琴「俺ちゃん。真実って、何かしらねぇ。真実は、ウソや偽りの無い事よね。でも、今の俺ちゃんにとっては自分の知らない事を知りたいのよね?」
俺ちゃんの知らない事なんてうん、と沢山あるわ。それを知って真実を得て勉強をするのも良いわ。でも、何も知らなければ。そう、一切知らなければその世界は俺ちゃんにとっての真実となるんじゃないかしら?
カーチャンは、そう言った。
正直、カーチャンが何を言っているのかわからない。でも、俺はカーチャンの思いはわかった。カーチャンは、俺の為に何かをしてくれている。
そして、あれは夢じゃない。
だが、夢じゃないとしたら、あんな事があったと言うのにこうも普通に生活ができるわけが無い。何かの力が働いている。
それが何かは、わからないが。
美琴「世の中には、知らなくていい事もあるのよ」
結局、カーチャンからはっきりとした答えは貰えなかった。
俺はまだもやもやとしたものを抱えているが、一つ。しっかりと心に決めた事がある。
俺「絶対に掴んでやる」
どこかに綻びがある筈だ。カーチャンが隠している、何かの。
きっとカーチャンは俺の為に隠してくれている。
でも、俺は夢じゃないと気付いてしまったから。
真実を知りたいと思ってしまったから。
俺「このまま、じっとしていられるか」
とは言ったものの、今の俺はベットに横になって睡魔に襲われている。
睡眠は人間の三大欲求だ。今はしょうがないと、自分に言い訳をして眠りに落ちた。
〜一冊目終了〜