8週目/スキップ/優都 ED 8


>>8週目/スキップ/俺、怖かったんだと思う 選択

>>俺、怖かったんだと思う

優都の真っ正面に立ち、そう言った。
震える自分の手をきつく握り締める。きっと、声も震えているだろうが今逃げるわけにはいかない。
どうしてタナ子にあんな事をしたのか。俺は、やっと自分の中の気持ちに気付いたのだから。

俺「いつも優都とタナ子が仲良く話しているのとか、着せ替えごっこして楽しそうにしているのとか見ててさ」

タナ子が、優都をお姉ちゃんじゃなくて男として捉えるようになるのが怖かった。
もしもタナ子が優都を好きになったのなら、優都には拒否する理由が無い。タナ子は俺と違って女の子なのだから。
だから、俺は優都に意識が行く前に俺に意識を向けさせようとあんな事をしてみた。
そこまで言って、自分が情けなくなる。
散々優都の事をうざったがって、気持ち悪いだの言って否定していたのに、自分から奪われそうになったらこんな事をする。
本当に、情けない。でも。

俺「俺、優都の事、好きみたいだ」
優都「勝手な事ばっかり」

優都が立ち上がる。ブランコが、ガシャ。と鳴る。
呆れられて当然だ。ああ、もう、このすれ違いはどうしようも無いのか。
俺と優都は擦れ違う。

優都「勝手な事ばっかり言って、ホント馬鹿」

ぎゅうっ。擦れ違いざまに頬をつねられた。

俺「優、都?」

笑っているような、泣いているような、でも、確かに笑っている顔。

優都「ユウは、昔から俺きゅんが好きに決まっているじゃない」

つねられた頬に柔らかい感触。

俺「優――」

走り去る優都。今、逃がしちゃ、いけない。
ぱしっ。

俺「優都っ!」
優都「っ!馬鹿っ!離しなさ」
俺「離さない!」

掴んだ腕を引っ張り俺の胸へと閉じ込める。優都の方が身長がある筈なのに、とても小さく感じた。

優都「恥ずかしいでしょ、馬鹿っ!」
俺「馬鹿馬鹿言い過ぎ。……馬鹿だけど」

兄貴だとか男だとか関係無い。好きなんだよ。

優都「本当に、馬鹿。いつまでユウの事男だと思ってるのよ」
俺「えっ?」

『やーいやーい。お前のねーちゃん女男ー。ゆーとなんて男の名前だろー』
『うるさいなぁ!ゆうねーちゃんを馬鹿にするなよ!』
『どうしてゆうねーちゃんはゆうねーちゃんなんだよぉ!ゆうおにーちゃんがよかった!』
『優ちゃん、俺ちゃんが熱出したのみたいなのよぅ。見ててくれるかしら?』
『俺、しっかりして。ねー……、……にーちゃんかそばにいるから』
『ゆう、にーちゃん?』
『……そうだよ』
『あれ?ゆう、ねぇ?ゆう、にぃ?』
『ユウにーちゃんだよ』
『にーちゃん……。そうだよなぁ。ゆーとってことは、おにーちゃんだよなぁ。ゆーとなんてなまえの女の子きいたことねーもん。』
『そう、だね』

俺「…………あ」
優都「もうっ。大変だったんだからね?元から男勝りな所もあったけど、男の子っぽく振る舞うの!」

その反動でかキレると男の子みたいになっちゃうしぃ。
優都は困ったように笑った。

俺「ありがとう、優……ねーちゃん」
優都「俺きゅん……」

ガサガサガサッ!
木の上からタナ子が降ってきた。

タナ子「ふぅっ!よかったですね、ゆーと!恋する乙女はさいごに勝つのです!わたしのように!」
優都「たぁちゃん……。相談に乗ってくれてありがとね」
タナ子「はいっ。ふふっ。いいえがおです。わたしはいちずなゆーとがすきですよ」

そうか、タナ子と優都は恋する乙女同士で……。
ん?

俺「タナ子?わたしのように、って?」
タナ子「?わたしも、きょうひゅーくんにすきって言ったらすきって言われました」

ひゅーくん!?ひゅーくんって誰だよおいっ!?

優都「人の恋路は邪魔しちゃだめよん」
俺「いや、だって」
タナ子「今度、だぶるでーとしましょう!」
優都「良いわねそれぇ!ユウ楽しみぃー」

夜の公園に三人の声が賑やかに響く。
胸の中の優都は、いつの間にか俺より小さくなっていた。
これから俺の世界が、少しだけ変わる。

Yuuto END
―ED8 優おねーちゃん―


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