7週目/スキップ/タナ子 ED 14


>>7週目/スキップ

優都「お前には、わからないよ」
俺「……なんだよ、それ」

優都は覚束ない足取りでリビングを出て行った。
ガチャン。重い音がした。

タナ子「俺にい?」

ひょこり。と、タナ子がリビングから顔を出した。
とてとて、と遠慮がちに俺の所へ寄ってくる。

タナ子「ユウおねーちゃんと喧嘩したですか?」

だめですよ。と、タナ子が言う。

タナ子「ユウおねーちゃんは、俺にいのことが一番すきなんですから」

ね?と、タナ子が笑う。

タナ子「優都がだめならユウなら良いかなって、言ってました」

かわいそうです。と、タナ子は瞳を伏せる。

俺「わっかんねーよ」

優都が何を考えているのかなんて。いっつもふざけてばっかりで。

タナ子「聞いたら良いですよ、わからないことは」
俺「……そう、だよな」
タナ子「わたしのすきなゆーとなら、ちゃんと教えてくれるはずです」
俺「え?あっ、ああ」

タナ子に促される形で俺は家を出た。
優都を探すとしても、どこを探せば良いのか。
ふと、昔の事を思い出した。そう言えば喧嘩をした時に優都は必ずと言っていい程公園のブランコに乗っていた。

俺「行ってみるか」

キィー、キコー、キィー。
街灯の頼りない灯りの中で、ブランコが揺れていた。

俺「優都……」

2 ごめん。さっきの嘘
3 俺、怖かったんだと思う

>>ごめん。さっきの嘘

ぽつり。俺の口から出たのはその言葉だった。
優都の背中は、頼りなくユラユラと揺れているだけで表情は見えない。

俺「俺は、タナ子の事を妹として見ていなかったと、思う」

夜道で冷えた体と頭。その中で改めて考えた、否、目を逸らしていたものと向き合って残った感情。

俺「タナ子を、妹としてじゃなく女の子として好きなんだ」
優都「そう。やっぱり、可愛くて、血の繋がりが無くて……兄弟じゃないって、羨ましいなぁ」
俺「優都……」

クスクス、と笑ってはいるが、きっと今優都は泣いている。表情を見なくたってわかる。
ギッ。背後から抱き締めると、腕に鎖の冷たさと優都の震えが伝わった。

タナ子「こらぁー!」

ドンッ。

俺「なっ?タナ子?」

俺の腰に抱き付いてきたタナ子は口をへの字にしてご立腹だ。

タナ子「俺にい!ゆーとにせくはらだめです!」

えっ。これは、あれか。タナ子は抱き付いてきたんじゃなくて、離そうとしているのか。

タナ子「わたしのすきなゆーとに触っちゃだめですっ」
俺「えっ」

まさか、まさかまさか。

俺「タナ子は優都の事が好きなのかっ?」

確かに、二人で仲良く会話をしている事は多かったが、おかまだぞ?女装男子だぞ?

タナ子「そうですよ?」
俺「いや、女装好きの男女だぞ?」
タナ子「?ユウはおねーちゃんだからだめですけど、ゆーとはゆーとだから良いんです」

あっ。これ墓穴掘ったかもしれない。

タナ子「俺にい、は、俺にいだからだめですよ?」

やっぱり。振られた。
傷心する二人は一人の女の子によって家へと連れ帰られた。
そしてタナ子が大人しく寝た後、俺は優都の部屋に行った。

優都「どうしたの?俺きゅん」
俺「……タナ子の事でさ。確かに、兄妹じゃないって良いなって」
優都「でも、ユウが好きなのは俺きゅんだもん。たぁちゃんじゃない。それは変わらない」

変わらない。つまり俺の事を好きでいてくれる。
タナ子には申し訳ないが、俺には光が見えた気がした。

優都「ねぇ、ユウは、男の子だから駄目なんだよね?」
俺「うん。ごめん」
優都「ん。大丈夫。本当にたぁちゃんが好きなら、負けちゃ駄目だよ?」

その日の会話は、俺の脳裏に強く焼き付いた。
そして時は流れ。
紆余曲折し、何度も拒絶されたり叩かれたりもしたが、俺はタナ子と付き合っている。恋人関係にまでなった。
俺のねちっこいまでのアプローチと、優都の一度としてタナ子の思いに応えなかった賜物だろう。

俺(優都、ありがとう!ゴチになりますっ)
タナ子「ひゃ、あ、やんっ」

俺は遂にタナ子とそう言うコトを致す事になり、非常に興奮している。
年月と共にスラリと伸びたタナ子の体は美しい。膨らみが全然無い、所謂貧乳だが俺はタナ子を愛しているから乳など関係ない。
スル、とスカートの中に手を滑り込ませると、タナ子がびくりと震えたが、俺もビクリと震えた。

俺「…………えっ?」

さわさわ。やわやわ。

タナ子「やっ、あ、だめっ、んぅっ」

タナ子の秘部の膨らみは、俺の良く知っている相棒と酷似していた。

タナ子「きゃあ!」

思わずスカートをたくし上げ黙視する。
あ、こんにちは息子さん。

俺「……そういう事か」

あの日の優都との会話が蘇る。優都は、知っていたんだな。
タナ子をお風呂に入れるのはカーチャンか優都だったからな。

タナ子「ぐすっ……わたしじゃ、だめですか?」
俺「そんな事ないよ」

俺はタナ子をふわりと抱き締める。
あの日性別を理由に優都を傷付けた俺が言える事ではないが。

俺「俺は、タナ子が好きだから」
タナ子「っ!……続き、しますか?」

恥ずかしそうにそう言うタナ子に、俺は小さく笑って覆いかぶさった。

Thanako END
―ED14 タナ子じゃなくてタナ男ですっ!―



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