小さな部屋の小さな窓から見えた小さな空。それを見るのがあたしは大嫌いだった。良からぬ希望を持ってしまうから、外の世界を想像してしまうから。
一生、出られないと思っていたのよ。あの紙とインクの匂いが充満してた部屋から。
『‥‥ナミ!お前はおれの、仲間だァ!!』
だけどアイツが壊してくれた。あたしが戻らなきゃならなかった場所は無くなった。そして新しい帰るべき場所が出来た。あいつらの無限の世界があたしの持ってた世界に混ざった瞬間だった。
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「うぉーい、サンジぃ!飯飯飯飯!」
「っせェ、さっき昼飯食ったとこだろうが!」
メリー号の上ではもう聞きなれちゃう位に繰り返されるその会話。ほんっと、サンジくんも毎日大変よね。
ウソップとチョッパーは釣りをしてるし、ゾロは相変わらず筋トレ中。ブルック、フランキー、ロビンは甲板でおしゃべり中。
そんな、クルー達が思い思いの時間を過ごすメリー号、あたしはと言えばベルメールさんの大切な蜜柑の木の手入れをしている。最近、夏島に近付いてきてるから小まめに無駄な葉っぱを取ってあげないとダメになっちゃうのよね。
「みんな、‥元気なのかしら?」
蜜柑の匂いを嗅ぐといつも思い出す。町のみんなのことと、ベルメールさんのこと、それとアーロンのこと。
あの頃のあたしはアーロンから逃げ出すことばっかりに囚われすぎてメビウスの輪の上をさ迷ってた。立ち止まってたのよね。
もしあたしがルフィ達と出会ってなかったら、きっと今でもアーロンの元で航海図書かされてたのかしら?‥考えたくもないわ。
「おい、ナミ!」
「うわぁっ!ちょっと、ルフィ。あんた、どっから出てきてんのよ!」
体が伸びるって言うのは便利で、階段を使わなくたってミカン畑の縁に手をかけてここまで上がってこれるのよね。
「しししっ!それよりよォ、ナミのことロビンが探してたぞ?」
「え、ロビンが?何かしら‥、次の島の話かしらね。ありがとっ、ルフィ。ロビンのとこ行って‥」
「おい、ナミ、!」
「え、なに?」
「なァに寂しそうな顔してんだ?寂しいならよォ、おれだってウソップだってゾロだって、一緒に遊んでやるのに!」
きっと、過去のことを思い出していたからなのかしら?無意識に寂しい(ルフィいわく)顔をしてたみたい。まったく、変なとこだけ敏感なんだから。
「ルフィ、ちょっと座って?」
「おぅ、いいぞー!」
あたしが座った横にちょこん、と座ったルフィ。そんな二人の上に広がる空を見上げて、手を伸ばした。
あの頃見ていた空はもう無い。空がこんなに大きかったことを教えてくれたのは、悔しいけどこの隣に座っているバカ船長だ。
伸ばした手はもちろん届かなかったけど、上に重ねられたルフィの手がとてもとても暖かかった。
だから、もうすぐ、届く気がしたのよ。柄にもないけど信じてもいいかな、なんて思っちゃったのよ。
(ありがとうね、バカ船長)
(んなっ、バカは余計だぞ、ナミぃ!)
(んナミすわぁあぁん!おやつをお持ちしました。)
(おい、サンジ!おれの飯は!?)
(はァ、平和ね、全く。)
***
ルナミ好きなわたしにはとても素晴らしい企画だったので、迷わず参加させて頂きました><
なんだかんだで船長を尊敬してるナミさんと、やっぱり鈍感な船長が書きたくて、それを東方神起さんのShare The Worldの歌詞に添わせつつ精一杯書かせて頂きました!
下手くそな文章すいませんでしたorz
管理人様、素敵な企画、ありがとうございました┏〇┓
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