08

冷静に話を聞いてみると、こういう事だった。明日葉が俺の悪口をその彼氏に会うたびに言っていたらしい。そしたら、彼氏の方が明日葉が俺の事を好きだと勘違いした。本当にそうならどんなに良いか。俺は溜め息を吐く。あんな明日葉の姿を見ていたら、俺の自信は急激に萎んでいった。

「ドウシテアナタハロミオナノ?」

劇の練習中。棒読み感が凄まじい。普段と変わらないように接しているつもりなのだろうが、生気が感じられていなかった。欠伸と誤魔化し、髪で顔を隠し泣いていた。その姿はとても見ていられなかった。周りも腫れ物に触るべからず。震えていた。

「だ、大丈夫なのかい?」
「何がだ?」

疑問形を疑問形で返された。無理をしている笑顔。その時、フッ、とある思いが心を過った。俺でも明日葉
を救えるんではないか。俺にだって心を癒せるんではないか。こんな状態の明日葉なんて、明日葉じゃない。

「明日葉、今日少し時間あるかい?」

俺は思いを伝える事に決めた。素直になれない自分の精一杯の誘いだった。





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