いつからだろう。美しく色付いていたはずの世界が、色彩を失い、モノクロームに見え始めたのは。いつからだろう。美しく輝いていたはずの写真が、色褪せ、セピア色に変色していったのは。
鳴り止まない静かな雨音に耳を塞ぎたくなる。闇のような夜に目を暝りたくなる。けれど私の心は、こんなにも醜いものだったと認めたくなくて、誰かのせいにし続けた日々にも、いい加減疲れ果てていた。いっそこの雨音に打たれてしまえばいい。いっそこの闇に溶けてしまえばいい。そう思うのは罪なことだと、貴方は言うでしょうか?
先日、彼女から電話がありました。『ディーノさんと婚約したの』と。それはとても幸せそうな声色で。私は思いました。彼女か貴方、どちらかが消えて失くなればいいと。そうすれば、婚約など取り消しになる。
彼女の幸せが私を不幸せにしていく。私の幸せが彼女を不幸せにしていく。それはディーノさんという人間を想い続ける限り、永遠に続いていくもの。あれ程、助け合い笑い合った日々の面影は、今はカケラすら見当たらず、広がるのはただ汚れた感情だけ。もう戻れぬディーノさんと、彼女との日々に未練すらなく、思うことは、この苦しみから解放される方法だけ。
どうすれば貴方をこの手に取り戻すことが出来るのでしょうか?どうすれば彼女を不幸せに出来るのでしょうか?貴方が消えて失くなれば、私はこの苦しみから解放されるのでしょうか?彼女が消えて失くなれば、解放されるのでしょうか?それとも、私が消えて失くなればいいのでしょうか?

愛しいディーノさんへ、締め殺される程のこの苦しい想いから解放される術を、どうか私に教えて下さい。




(必ず誰かが傷付くルールに、逆らい足掻いて沈んだ私)



2009
ただの独り言話になってしまった。
title/nichola