紅く染まる満月、風も吹いてないのに怪しげに揺らめく蝋燭、夜より深い闇色の床には目も眩むほどの真っ白いチョークで描かれた謎の紋様…。
そしてその怪しげな部屋の中心にはそろそろ少女から女性への階段を上りそうな年頃の女が一人。
紋様の中心に立ち、三日月のような弧の笑みを浮かべた彼女はひどく嬉しそうに呟いた。

「ふむ、これで完成だ。ふふふっ…」

そうして、なにやら呪文のような言葉…否、音を言い終えたその瞬間。

そこには誰も、いなくなった。




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