76.嘯く




あのね、この際だからはっきり言うけど私リオンの事が嫌い。昔は好きだったけど今は嫌いで嫌いで仕方ない。だって、最近リオンなんだか冷たいしお仕事ばっかですぐどっか行っちゃうし私と遊ばなくなっちゃったし。だから嫌い、顔も見たくない、どっか行ってよ。―え?ここは僕の家だって?なら私が出て行くわよっ。もうこの家にも来ないから。リオンの顔見ると胸の鼓動が何故か速くなるから痛くて痛くて耐えられなくて苦しい。声聞いちゃうと何も考えられなくなって注意力が散漫になってこないだ転けた!目の前で見てたでしょ?めっちゃ笑ってたもんねっ!…何笑ってるのよ。そんなに笑う事、ないじゃん。私本気なんだよ?本気でもう貴方に会いたくないんだから!嫌い嫌い!リオンなんて大嫌い!…笑わないでよ…もう。普段滅多に笑わないじゃない。マリアンさんの前でしか笑わない癖に。やめてよ、胸が痛い。そうだよ、リオンなんかマリアンさんのところに行けばいいんだ。だって好きなんでしょ?傍にいたいでしょ?ほら行きなよ、早く、行け。…行ってよ、マリアンさんのとこに。貴方、と、凄くお似合、いだか、ら…。!?泣いてない!泣く訳ないじゃない!おかしな事言わないでよ!あーもう煩いなぁ!泣いてないってば!嫌い嫌い嫌い!大っ嫌い!!リオンの事考えただけでぐちゃぐちゃに掻き乱されて凄く不快。本当…腹立つ…っ。もう嫌だ…。………。こんな事言われて腹立つでしょ?貴方も私の事嫌いになったでしょ?―なのになんでまだそんなに笑ってるの?なんでそんな目で私を見るの?おかしいじゃない、貴方がそんな顔するなんて。…!ちょっと何近付いてんのよ!離れなさいよ!―もういい、私が出て行…ちょっとどういうつもり!?出してよ!ここから出して!来ないで!嫌…嫌だ!やめてっ、離してっ、嫌い―――、






「僕はお前が、ルナが好きだ」
「………」
「顔を合わせれば柄にもなくドキドキするし、声を聞いても同じようにドキドキするし、他の男と話しているところを見れば嫉妬に駆られる」
「…嘘…だ」
「事実だ。確かめるか?」


ドクドクドク、


「…異様に速い」
「だから言っただろ?」
「…私は嫌い」
「僕は好き」
「離れたい」
「離したくない」
「苦しい」
「その苦しみ全て取ってあげる」
「嫌だ…」
「もう泣かないで」
「泣いて…ないっ…もん」










“君のその苦しみは僕と同じ筈だから”

“君が本当に望むものが何か、僕は知っているから”

“君はただ怯えているだけ”

“大丈夫、大丈夫だよ”

“怖がらなくていいから”

“ルナ、…愛してる”










大嫌いな彼からの愛の言葉が驚くほど私の中に入り込んできたものだから私は声を大にして泣き崩れてしまった。








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