いちばん(青八木)
知ってる、俺はいつも君を見てる。
『おはよう、手嶋くん、青八木くん』
「おはよう椎名」
「…おはよう」
だから、知ってる。
君がいつも、手嶋を見てるって。
『あ、…、手嶋くんたちは今日も部活かぁ、がんばれー!』
俺は椎名のことは、なんでも知ってる。
未来も、今、手嶋を呼ぶときに、少し詰まった理由も。
君にはいつも、手嶋が一番だから。
「純太、よかったな」
「ん?何が?」
「椎名とお前が、幸せなのは、俺にとっても、一番だ」
「あ、や、…すまん!なんか、言いづらくて、照れるっていうか」
「純太」
真っ赤な顔でしゃべる、一番の親友を、さえぎる。
こいつらは、俺の一番だから。
「言ってくれないのは酷い」
「だ、だからごめんって…」
「俺は、嬉しいから」
一番なんだ、本当に。
仕合せそうに笑う2人が、大切で仕方がない。
「青八木…さんきゅ」
「…」
「よし、じゃあ今度3人で遊ぼうな」
「え!?」
俺だって「一」なのだと、俺が誰かの一番になれる日が、来るまで。
この2人を俺の一番にしようと、心のうちでそっと誓った。