雪が降りました

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『……おは』

「あ!おはようなまえ!見て見て!雪だよ雪!」

『………音也、朝からうるさい』

「もう昼だよ、っていうかほら!雪だよ!」

『……さっき聞いた』





眠い目を擦って窓に視線を向けると、一面に広がる銀世界。
こんなに積もった雪を見るのは、久しぶりかもしれない。





『すごい積もってるねぇ……よいしょ』

「うん、珍しいよね!だから外に出よ……あれ?なんでこたつに入ってるの、なまえ」

『寒い。みかん食べたら寝る』

「えー!ちょっとー!外出ようよ!……だめ?」

『うっ』





上目遣いの音也にはかなわない。
わたしは皮を剥いたみかんをそのままにして、パジャマのままこたつから出た。





「なんだ、やっぱりなまえも本当は雪で遊びたかったんだね!」

『………んなわけないでしょ』

「え?」

『ううん、何でもない。行こ』

「……え、ちょっとなまえ、そのまま行くの?」

『うん』





着替えると寒いから、と言うと、まいっか、と音也はわたしの手を取った。
玄関にある姿見に一瞬映ったのは、パジャマの上からどてらを羽織って横に大きくなったわたしの姿。

その直後、肌を刺すような風に包まれて、身が縮んだ。





『うわ、さむっ』

「わー、綺麗!ねぇ、雪だるまつくろ!」





手袋も付けないでよく雪に触れるな、と思った瞬間、あ、と声をあげて音也がポケットから手袋を出した。





「忘れてた。はいっ」

『……え?』

「手が凍っちゃうからさ。手袋しなよ」

『え、音也のでしょ、それ』

「そうだけど。俺よりもなまえの手の方が大事だから、ね」





そう言いながらわたしの手に手袋をはめる音也は、寒さで鼻を赤らめながら、とても幸せそうに笑っていた。
その彼の手を、わたしは軽く握る。





『半分こ』

「え?」

『手袋、半分こしよう。音也が寒いのは、わたしが嫌なんだよ』

「……うん!じゃあ手袋してない手は、俺が暖めてあげるね!」





温かく大きな手がわたしの手をすっぽりと包んだ。それだけで、周りの景色が色づいて見える。
どちらからともなく視線が合って、わたしたちは微笑みあった。



相変わらず、頬に当たる風や空気は冷たいままだけど。

音也のおかげで、今日もわたしは心がぽかぽかです。



















雪が降りました
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「……わぁ、でっかい雪だるまできたね!」
『よし、写真撮ろう!待ってて音也、今ケータイ持って……うわぁっ!』
「危ないっ!」

べしゃ

「……あ」
『………!』
「あはは、また雪だるま作り直しだね」
『ご、ごめん音也……うわ冷たっ!ちょ!どどどどこ触ってんの!?』
「んー、雪だるま壊した罰?」
『ごごごごめんなさいっていうか冷たいから!』
「……たまには外で、っていうのもいいかもね」
『冗談じゃない!やめろ―――!!』




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