それでも
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『(……わたしに、わたしに気付いてください)』
「……おお、メリー!」
「げっ」
「なんだ、今帰りか?」
「そうよ!今日は本屋さん寄って帰るんだから! ね、なまえ!」
『あ、うん!』
「おーよかったなメリー、寄り道出来るお友だちが出来てよ!」
「な、何よその言い方! ………きゃ!」
「おっと……雨上がりで道滑りやすいんだから気を付けろよ」
「あ……ふ、ふん!余計なお世話よ!」
「おーい千鶴、何やってんのー、行くよー」
「あ、待ってよゆっきー! じゃあな!また転ぶんじゃねーよ、メリー!」
「う、うるさいわね! さ、帰りましょ!」
『う、うん……』
「………? どうしたの、なまえ?」
『あ、のさ……真咲ちゃんは、さっきの人と仲良いよね』
「えっ!? な、仲良いというか……ま、まぁ、悪くはないと思うけど………どうしたのよ、いきなり」
『………ううん、なんでもない!』
真咲ちゃんと一緒にいるようになって、あの千鶴先輩と出会って。
一目惚れだったわけだけど、真咲ちゃんしか見てない彼には、わたしのこの視線には気付いてもらえないのです。
それでも
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この気持ちは、止まらない。
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