嫌いな理由
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「やぁ、レディ。おはよう」
『おはようございます』
「なんだ。やけに冷たいじゃないか、どうしたんだい?」
『話し掛けないでください。神宮寺さんなんて嫌いです』
「うわ、酷いなぁ。いくら俺でも、そんな言い方をされれば傷付くよ?」
『いいんです、神宮寺さんだってたくさん女の人を傷付けてるんですから』
「傷付けてるつもりはないんだけどなぁ。俺は、いたい人と一緒にいるだけだよ」
『それが傷付けてるってことです。女の人とばっかりいるくせに、乙女心もわからないんですか?』
「いちいち喧嘩口調だなぁ。まぁ、そこもレディの良いところだけどね」
『馬鹿にしてるんですか』
「いやいや。俺は女の子をぞんざいに扱ったりしないさ」
『そうですか。どうでもいいですけど、あっちでまた女の人が呼んでますよ』
「ああ、いけない。彼女を待たせてたんだった。じゃあまたね、レディ」
『もう二度と来なくていいです。………あ!翔ちゃん!おはよー!』
「おお、おはよ……って、レンとの態度違いすぎねーか?レン、気にしてたぞ」
『いいの。少しくらい神宮寺さんには傷付いてもらわないとね』
「おいおい、何でそんなに厳しいんだよ」
『たくさんの人を傷付けてるんだもん、当然でしょ』
嫌いな理由
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別に、特別な理由なんてない。
ただ、神宮寺さんが女の人と一緒にいるのを見るたびに、わたしは苦しくてたまらなくなるから、神宮寺さんも同じように苦しんでほしい。
それだけ。
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