素直になるまで

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『(……なんだかなー)』





わたしの目の前にいるのは、わたしのパートナーである一十木音也と、彼と同室の一ノ瀬トキヤ。

音也は今、一ノ瀬さんに助言をもらっている……というか、怒られている。





「どうしてそんなことでうじうじ悩んでいるんですか」

「だって……もう俺どうしていいかわからないんだよ」

「前に教えてあげたでしょう。もう忘れたんですか」





音也にしては珍しく歌詞に行き詰まったらしく、わたしにも少しアドバイスがほしいと言われて部屋に来たのだが。





『(あの言い方じゃ、伝わらないよなぁ)』





一ノ瀬さんの言葉は、なんというか、回り道すぎる。
素直な音也はきっと、言われたことをそのまま受け入れてしまうだろう。だから、自分が悩んでるときに言われると辛いのだと思う。





「……そんな顔でこの部屋にいられても迷惑です。…出ていってください」





外の空気でも吸って気分転換してこい、という意味なのだろうが、音也には通じるはずもなく。

音也はそのまま出ていってしまった。





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