剥がれた仮面

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*音也病んでます





感情に蓋をして、言葉を飾る。
素顔は仮面の下で、君だけを見つめたまま。







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『…………あ、一十木くん。おはよう!』

――おはよう、なまえ。今日も相変わらずかわいいね。

『あれ、トキヤは?』

――トキヤ?
ごめんね、さっき追い出しちゃった。それよりさ、俺と遊ぼうよ。

『そっかぁ……どこに行ったんだろう。部屋で待っていますって言ってたのに』

――いい加減、俺のこと見てよ。トキヤはここにいないんだから。

『じゃあ、ちょっと探してくるね。ありがとう、一十木くん』

――行ったところで君は探し出せないと思うよ。だって俺がトキヤに言ったんだもん。なまえは実家に帰ったよ、って。

『え、そうなの? ……でも、せっかく言ってくれたけどごめんね、部屋にお邪魔するのも悪いし、私は出るね』

――何で?
きっと今日はもうトキヤは帰ってこないよ。それに君も、本当は俺に会いたくてここに来たんでしょ?

『でもそうは言っても携帯も通じないし、心配だから』

――あぁ。それは今日、俺がトキヤの携帯をトイレに落としたから。君は心配することないよ。

『……やっぱり私、トキヤを探しに行ってくる』

あ、待って。今トキヤから連絡がきたよ。部屋に向かってるって!

『…………え? い、今、一十木くん……』





急激に、なまえの顔色が変わった。彼女は目を大きく見開いて、信じられないようなものを見るかのように俺を見ている。

心の言葉と口に出す言葉、間違えちゃった。
でもいいや、やっと君は俺を見てくれたから。





「どうしたの?」

『…………わ、私を、逃がさない、って……?』

「そのままの意味だよ、なまえ」

『……え? 私の、名前』

「名前がどうかした?」

『い、いつも名字で、呼んでるのに』

「俺は君のこと、いつも名前で呼んでたよ」





心の中で。





『…………と、とりあえず、トキヤを探しに行』

「トキヤトキヤってうるさいなぁ。今日は帰ってこないよ」

『…………え?』

「だからさ、なまえ。俺と遊ぼうよ」





俺が後ろ手に部屋の鍵をかけると、なまえは息を飲んだ。ひどく怯えた顔をしてる。緊張してるのかな。心配しないで、楽しいことしかしないから。





『…………い、一十木、く』

「大好きだよ、なまえ。君がトキヤのものだってわかったときはびっくりしたけど」

『っ、はなし、て』

「きっとこんな顔、トキヤだって見たことないよね。俺だけに見せてくれるなんて嬉しいよ、なまえ」

『…………っ、助けて、ト』





その名前を言い終える前に、俺はなまえの口をふさいだ。目からは滴が溢れて、俺を煽るように声をあげる君。やっと俺に素直になってくれた。これで、君はもう俺のものだね、なまえ。



















剥がれた仮面
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もう、離さない。






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