微妙な距離

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『……あ!オズ!』

「あ、なまえ。おは」

『オズ!おはよ――――!』





どーん。
音がなるくらい盛大に抱きつくと、よろけられてしまった。構わずに頭をぐりぐり撫でる。





『あー!朝から会えるとか幸せ!今日一日がんばれる!』

「なまえ!くすぐったいよ!」

『オズの頭ふわふわー!』





ぐりぐり。
頭を撫でていると、思い切り抵抗される。
それでも諦めずにぐりぐりしていると、後ろからぽかっと殴られた。





『いたっ』

「おい、オズに何してるんだ」

『ギル!女の子の頭を殴るなんて!』

「オズを困らせてるなまえが悪い」





わたしじゃなくてオズに、大丈夫か、と声を掛けるギル。
反射的に、わたしは腕に力を入れた。





「ちょ、くるしっ」

「……おいなまえ、オズを離せ」

『やだねーっ!オズはギルのものじゃありません』

「お前のものでもないだろうが!」

「ちょっ、なまえ、苦しい」

『ギルはオズが大好きだよね、ほんとに』

「何だ、それはどういう意味だ」

『独占しすぎだよ!たまにはわたしと仲良くしてたっていいじゃん!』

「ぐぇ」

「『ん?』」





今、変な声が聞こえたような。
恐る恐る腕の中を見ると、そこには青い顔をしたオズの姿。





『うわああああ!ごめんオズっ』

「おおおおお前!何してるんだ早くオズを離せ!」

「……げほっごほっ、ああ、死ぬかと思った」

『ご、ごめんね、オズ』

「ほんとだよ!二人とも過保護すぎ!俺は誰のものでもないから!」





少し赤い顔でそう拗ねる様子がまたかわいくて、抱き締めたいのをぐっと抑えてぐりぐりとオズの頭を撫でる。





「………」

『えへへー』

「……はぁ」

「お、おいオズ、いいのか」

「いいよ。もう何を言っても聞かないでしょ」

『うん』

「即答だな」





だってオズかわいいんだもん。仕方ない。





「……あ!こんなところにいたのか、オズ!」

「アリス!」





アリスはオズを見つけて駆け寄ると、わたしをきっと睨みつけた。





「……おい、なまえ!その手をどかせっ!」

『………はぁい』





アリスに言われちゃしょうがない。わたしがしぶしぶ手を離すと、ギルが驚いた顔でわたしに問いかけた。





「……こいつの言うことは聞くんだな、なまえ」

『うん。アリスに嫌われたくないもん』

「……俺たちはいいってことか、それは」

『あっ、もう収集の時間になっちゃうよギル!じゃあねオズ!アリス!』





言葉を遮って、ギルの腕を掴む。すると、ギルの慌てた声に混じってオズの「いってらっしゃい」という声が背中越しに聞こえた。

それを聞いて満足したわたしは、嫌がるギルを無理矢理引っ張りながら、集合場所へと向かった。







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